ルイス・ハミルトンは、F1がスペインGPで導入した新たなフロントウイングのたわみテストにより各チームに新ウイングの開発を強いたことについて、「金の無駄だった」と批判した。バルセロナでの週末を前に、マクラーレンやメルセデスといったチームが、レッドブルやフェラーリとの差を縮めると広く予想されていた。というのも、これらのチームはこれまでの規則の範囲内でフロントウイングの柔軟性を巧みに利用し、高速・低速コーナーのバランス性能を高めていたと見られていたからだ。
FIAは今回、翼のたわみ量を5mm削減するという新たな基準を導入し、これによって昨シーズンから続いていた議論――レッドブルとフェラーリが他チームのウイング設計についてFIAに明確化を求めた件――に区切りをつけた。しかし、金曜の初日プラクティスを終えた時点で、この規則変更が競技面において大きな影響を与えていないことは明らかだった。スペインGP予選では、マクラーレンがフロントローを独占。ポールポジションのオスカー・ピアストリは、3番手のマックス・フェルスタッペンに対して0.3秒の差をつけた。予選後にハミルトンはこの件について率直な意見を述べ、他のドライバーたちと同様、新しいより剛性の高いフロントウイングによってバランスは若干悪化したと感じたものの、効果がほとんどなかったことから新ウイングの開発は無意味だったと主張した。「以前よりもバランスが良くないのは確かだ」とハミルトンは語った。「でも実際には何も変わっていない。何という金の無駄遣いだ。みんな無駄にお金を使っただけだ」「実質的には何も変わっていない。みんなのウイングは今でも曲がってる。たわみが半分になっただけ。そしてみんな新しいウイングを作るためにお金をかけなきゃいけなかった。意味がわからない。でも決まったことだから、僕らは進むしかない」「シミュレーターで走ったときもほとんど同じだった。高速域でちょっとオーバーステアが増えたくらいだ」ハミルトンのフェラーリでのチームメイト、シャルル・ルクレールもまた、高速コーナーでの感触に若干の違いはあると認めつつも、セットアップで対応できる範囲だと述べた。モナコ出身のルクレールは、フロントウイングに頼っていた安定性の確保を、今は車体の他の要素に移行させていると説明する。「うん(違いは)あるよ、特に高速域でね。少し難しくなったけど、嫌いではない」とルクレールは語った。「でも大きな違いってわけじゃない。だって別の方法で同じことを達成できるから。メカニカル的な手段はみんな持っていて、それでなんとかできる」「以前はフロントウイングがその役割を多く担っていたけど、今はみんな他の手段に頼ってる。僕たちのチームにとっては、それほど大きな変化ではなかった」