シーズン最終盤に入り、ハースF1のレースエンジニアとしてエステバン・オコンを担当するローラ・ミュラーが、1年目の手応えを振り返った。ミュラーは2025年開幕前にオコンのレースエンジニアに就任し、F1の歴史上初めて女性が正式に昇格した例として注目を集めた。2022年にシミュレーター部門からハースへ加わり、その後パフォーマンスエンジニアを経て現在の役割に抜擢された人物だ。
「エステバンは面白い人。そして心配性」オランダのFomule.nlに語ったミュラーは、オコンとの関係が当初から好調だったと明かす。「エステバンと仕事をするのは本当に良い。私たちは根本的に似ているところが多い」とミュラーは説明する。「彼はすごく面白いの。多くの人が思っている以上にね。でも同時にとても心配性でもある。私はどちらかというとリスクを取るタイプで、トラックウォークでは自転車で走りながら時々ちょっとした ‘無茶’ をすることもある。するとエステバンは『ケガするんじゃないか』と本気で心配するのよ。2人でよく笑っているわ」新しい環境と新しい役割「思ったより早く噛み合った」2人が“噛み合う”までに時間はかかったのかと問われると、ミュラーは「驚くほどすぐだった」と語る。「大きな調整は必要なかった。エステバンは経験豊富なドライバーだけれど、今年は新しいチームに来たばかり。彼は環境に慣れる必要があって、私は新しい役割に慣れる必要があった」「もちろん、ドライバーとレースエンジニアとしてコミュニケーション面で慣れるべき部分はある。でも、思っていたよりずっと簡単だった。誤解や小さなミスは今でもあるけれど、それが私の働きに悪影響を及ぼしたことはないわ」「互いを信頼している」関係性の成熟ミュラーが最も強調したのは、オコンとの間に築かれた“信頼”だ。「私が言うことをエステバンはしっかり受け止めてくれるし、その逆も同じ。セットアップの話でも、その他のことでもね。彼のドライバーとしての経験は、私が良い判断をするうえで大きく助けになっている」「私たちは常にオープンに話し合っている。どちらか一方が主導する、という関係ではない。そこがとても大きいわ」ハースF1にとって変革の年となった2025シーズン。オコンとミュラーの“新コンビ”は、最終盤を迎えた今、確かな信頼と手応えを築き上げている。