ガブリエル・ボルトレトが、F1オーストリアGP終盤にフェルナンド・アロンソと繰り広げた白熱のバトルを振り返った。自身にとってF1初のポイント獲得となる記念すべきレースの裏には、マネージャーでもあるアロンソとの駆け引きがあった。ザウバーのルーキーであるボルトレトは、70周のレースの49周目にフレッシュタイヤを投入。その効果もあり、レース終盤には7番手を走行していたアロンソに急接近した。
しかし、2度のF1世界王者であるアロンソの老練な走りを前に、最後まで追い抜くことは叶わず、0.5秒差の8位でチェッカーを受けた。レースリーダーのランド・ノリスが両者をラップしたことで、実質的に戦いは1周早く終了。これによりアロンソは、ボルトレトの最後の攻撃を受けずに逃げ切る形となった。「彼は本当に経験が豊富だ」と20歳のボルトレトは語った。「ブルーフラッグの使い方も完璧だったし、あわやノリスをバックストレートで抜き返しそうな場面もあった。でも、決してルールに反することはせず、完璧にやってのけたんだ」アロンソを間近で追ったことで多くを学んだかと問われると、ボルトレトはこう答えた。「もちろん学んだ。でも、ああいうのは家に帰って、リラックスした状態で彼のオンボード映像を見て、1本1本のライン取り、ミラーの見方、DRSを得るためのブレーキングの仕方をじっくり研究するべきものなんだ」「僕はとにかく抜こうと集中していた。まるで初めてポイントを取ろうとする若造みたいな感じだったよ」「彼はというと、リラックスして冷静に守っていた。完全にレースを掌握していたんだ。タイヤの状態は彼の方が悪かったはずなのに、それでも僕を2周も抑えきった。素晴らしい仕事だったと思う」レース後、パルクフェルメでアロンソはボルトレトを抱きしめ、F1初入賞を祝福した。「彼は『初ポイントおめでとう。本当にいい仕事をしたね』と言ってくれた」とボルトレトは明かす。ボルトレトは2022年からアロンソのマネジメントチーム「A14マネジメント」に所属しており、師弟関係にある。一方のアロンソは、ボルトレトの猛追を凌ぐためにノリスのラップに合わせた“奇策”を明かした。「最後、ガブリエルの方がずっと速かった」とアストンマーティンのアロンソは語る。「もう守れないかと思ったけど、幸いにもランドがちょうどいいタイミングで僕らをラップしていった」「ランドが僕らを抜いたことで、次の周がチェッカーフラッグになったんだ。だからP7でフィニッシュできたのはラッキーだった」「もちろんランドを抜くつもりはなかったけど、彼のすぐ後ろに留まっていたらガブリエルに抜かれていたと思う。だからちょっと動きを変えて、彼に僕が何をするつもりか分からないようにして混乱させる必要があったんだ」若き才能と老練な名手による師弟対決は、ボルトレトにとってもアロンソにとっても特別な一戦となった。
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