ダン・ティクタムが、2025年フォーミュラE第12戦ジャカルタE-Prixで参戦60戦目にして待望の初優勝を飾った。CUPRA KIROにとっても、前身のNEXTEV時代以来となる久々の勝利となり、混迷を極めたレースを制する劇的な幕切れとなった。ティクタムは5番グリッドからスタート。序盤はアンドレッティのジェイク・デニスとマヒンドラのニック・デ・フリースが主役となったが、両者の接触と戦略の綾により状況は一変。
CUPRA KIROにとってもこの勝利は、ネルソン・ピケJr.が2015年のモスクワE-Prixで挙げた優勝以来。長い低迷を経て、チームとドライバーにとって記憶に残る一日となった。先頭争いは波乱の連続レースはポールポジションからスタートしたデニスが、2番手に浮上したデ・フリースを抑えて主導権を握ったが、38周のレース中盤に運命を分けるアタックモード戦略の違いが浮き彫りとなる。デ・フリースが4分間、デニスが2分間を使用することで、両者のアクティベーションタイミングがズレることに。ストレートで2度にわたって仕掛けたデ・フリースに対し、デニスは激しいディフェンスを展開。2度目の攻防で接触が発生し、デ・フリースには10秒加算のペナルティが科された。その後のセーフティカー明け、再びレースをリードしたのはデ・フリースだったが、ティクタムはアタックモードを使い切ったタイミングで順位を上げ、デニスの前に出ることに成功。デニスはフルコースイエロー明けに急減速し、ピットイン。デ・フリースもストフェル・バンドーンのクラッシュ直後にマシンが「レッド・アンセーフ・モード」に入り、トップ争いから脱落した。ミュラー、13番手から表彰台で存在感これにより勝負はティクタムとモルタラの一騎打ちに。最終盤に激しいプレッシャーを受けたティクタムだったが、冷静な対応で逃げ切り、60戦目の記念すべき初勝利を手にした。3位には、13番手スタートから怒涛の追い上げを見せたニコ・ミュラー(アンドレッティ)。本来であれば4位でのチェッカーだったが、前を走っていたセバスチャン・ブエミ(エンビジョン)に5秒のペナルティが科されたことで順位が繰り上がった。ポルシェのカスタマードライバーであるミュラーは、この走りで来季のワークス昇格をめぐる評価を大きく高める結果となった。アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)は4位、ジャガーのニック・キャシディは5位でフィニッシュ。序盤は上位をキープしていたキャシディだったが、アタックモード中の不運な接触とタイミングの悪さで後退した。マクラーレン勢は、2番手スタートのバーナードが6位、サム・バードが7位とダブル入賞。ブエミはペナルティの影響で8位に後退した。タイトル争いにも影響22番手スタートのロビン・フラインス(エンビジョン)が9位、タイトルリーダーのオリバー・ローランド(ニッサン)が10位でフィニッシュ。一方、パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)は11位に終わり、両者のポイント差はほぼ変わらず。7月のベルリン2連戦で決着が見込まれる。上位リザルト1.ダン・ティクタム(CUPRA KIRO)2.エドアルド・モルタラ(マヒンドラ・レーシング)3.ニコ・ミュラー(アンドレッティ)4.アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)5.ニック・キャシディ(ジャガーTCS)6.テイラー・バーナード(NEOMマクラーレン)7.サム・バード(NEOMマクラーレン)8.セバスチャン・ブエミ(エンビジョン)9.ロビン・フラインス(エンビジョン)10.オリバー・ローランド(ニッサン)
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