FIA世界モータースポーツ評議会は、新型コロナウイルスによって絶え間なく塩化する世界的な状況に対応し、2020年および2021年のF1レギュレーションの多くの変更を承認した。F1チームは今年の残りの期間、新規則に対応した2022年F1マシンの開発を禁止される。今月初め、F1、FIA(国際自動車連盟)、および全F1チームは全会一致で2021年に予定していた新F1レギュレーションの導入を2022年まで延期することに合意。世界モータースポーツ評議会はこの動きを承認し、関連規制を調整できるようにした。
2020年中の2022年F1マシンの空力開発の禁止今回のレギュレーション調整で特に重要な点は、コストを抑えるためにF1チームは2020年3月28日~12月31日まで新レギュレーションに対応した2022年に導入されるF1マシンの空力開発が禁止されることだ。2021年、F1チームは今季のために開発したシャシーを使用しなければならない。サバイバルセルおよび“特定のその他のコンポーネント”は承認なく変更することは許可されない。ただし、マクラーレンはルノーからメルセデスにF1エンジンを変更するために必要な修正は許可されている。また、メルセデスが今季マシンのために導入したDAS(デュアル・アクシス・ステアリング)は予定通りに2021年から非合法化される。競技規則の変更F1は、開幕8戦の延期・中止が決定。新型コロナウイルスという“不可抗力”による中止はF1の収益の大部分を占めている開催料を徴収することができないことを意味し、F1チームは収益の減少に備えている。F1のCEO兼会長であるチェイス・キャリーは、夏に始まる2020年の15〜18戦からなるカレンダーを想定していると語っている。今回の変更により、FIAとF1は、F1チームの投票を実施せずに“危機に対応し、選手権の商品価値を最大限に保護し、できるだけ多くの費用を含むレースカレンダーを編成”することが可能になり、FIA会長のジャン・トッドには“2020年の国際大会の開催に関連して、緊急に必要となる可能性のある決定”を下すことができる権限が与えられる。また、競技規制への第1.3条の追加を含むその他の一連の変更が承認され、FIAは全会一致ではなく、チームの60%のサポートがあれば特定の条項を変更できることになった。シャットダウン期間の延長の可能性ホンダF1を含めたエンジンメーカー・部門も3週間のシャットダウンの対象とすることを発表した。新型コロナウイルスの世界的な大流行を受け、F1は8月に2週間義務付けていた2週間のファクトリー閉鎖を3~4月に前倒しし、期間も3週間に延長。しかし、F1にエンジンサプライヤーとして参加しているホンダには適用されていなかった。しかし、FIAは現状を鑑みて、レギュレーションを変更。ホンダ、メルセデスHPP、ルノーとフェラーリのエンジン部門も3週間のシャットダウンを義務化し、作業をできないように定めた。またFIAは“公衆衛生上の懸念や政府の制限が当初想定されていたシャットダウン期間を超えて継続した場合”、現在の3週間のシャットダウン期間を延長できることも確認した。年間のパワーユニットコンポーネントの使用基数制限F1カレンダーが14戦以下になった場合、チームがシーズンに使用できるパワーユニットエレメントの基数も変更された。チャンピオンシップのレース数が14以下になった場合、各ドライバーはエンジン(ICE)、MGU-H、MGU-K、ターボチャージャー、エネルギーストア、コントロールエレクトロニクスはすべて2基までに制限される。さらにレース数が11以下になった場合には、エンジン(ICE)、MGU-H、MGU-K、ターボチャージャーは2基まで、コントロールエレクトロニクスとエネルギーストアは1基までに制限される。若手ドライバーテストの追加とタイヤテストの中止最終戦後に行われるポストシーズンテストも更新され、F1チームは1台だけでなく、2台のマシンを走らせることが可能となる。テストの対象となる若手ドライバーは、F1世界選手権に2戦以上出場していないことが条件となる。また、更新された競技規制では、2020年にピレリのタイヤテストが行われないことも確認された。F1チームは、2021年に18インチホイールへの切り替えが予定されていた当初は、ミュールカーを使用して25日間の走行でF1のタイヤサプライヤーを支援する予定だった。