FIA(国際自動車連盟)は、2019年のF1レギュレーションの調整を承認。グリッド降格ペナルティを受けたドライバーが予選に参加することを奨励するよう変更される。2018年のF1レギュレーションでは、パワーユニット交換によって15グリッド以上のグリッド降格ペナルティを科せられたドライバーは最後尾からスタートすることになり、複数のドライバーが該当する場合は、ペナルティが発生した順にグリッドの最後に配置されるというルールが導入された。
週末前にパワーユニットを交換したドライバーは、フリー走行1回目にピットレーンを出た時点でペナルティが“発生”する。このシステムは、昨年、複数のコンポーネントを交換することで、20台のグリッドで60グリッド以上の降格ペナルティという異常な状況が発生したため採用された。だが、このルールでは予選で走行したドライバーにインセンティブが与えられることはなく、一般的にQ1ではドライバーは形式的に走行を行うだけだった。F1ロシアGPでは、ペナルティを受けた5名のドライバのうち、3名がQ2に進出したが、タイヤやエンジンのマイレージを無駄にしないために3名全員がQ2で走行を行わなかった。また、週末を迎える前から大量降格が決定シテイルドライバーは、少しでも前のグリッドを確保するためにフリー走行1回目がスタートする10分以上にピットレーンの出口に並ぶという現象も発生した。そのような状況を回避するため、2019年のF1世界選手権では、ペナルティを受けたドライバーは予選での順位を元にグリッドに並ぶように変更される。これにより、ペナルティを科せられたドライバーでも予選でタイムを出すにメリットが出てくるようになる。また、FIAは107%ルール外でレースのスタートを許可されたドライバーは、エンジン降格ペナルティを受けるドライバーの後ろに配置されるようルールを変更した。FIA 世界モータースポーツ評議会で承認されたもうひとつの変更として、2021年のレギュレーションに沿ったCFD(計算流体力学)によるシミュレーションは無制限で実施できるようになるというものがある。このCFDの無制限化によって、F1とFIAのレギュレーション策定ワーキンググループは、チームからより正確なフィードバックを得ることが可能になる。その他の変更点では、燃料の取り扱いに関する手順が変更される。この変更により、チームはテストの際にグランプリ週末と同じ方法で燃料を取り扱う事が義務付けられる。2012年のF1スペインGPでは、優勝したパストール・マルドナドを祝っていたウィリアムズのガレージから火災が発生し、数十人が負傷する事故が起こった。これを受けてルールが改正されたが、グランプリを除くテストの際にはこの規約が遵守されていなかった。また、セーフティカーがピットに戻った後、各マシンがコントロールラインを通過するまでは、イエローフラッグ状態が継続されることとなった。現行では、セーフティカーがピットに戻ると同時にイエローフラッグとSCボードが解除され、グリーンフラッグが振られるが、2019年はSCボードが廃止され、セーフティーカーがピットに戻っても引き続きイエローフラッフが提示される。また、F1テクニカルレギュレーションの調整として、2019年のフロントウイング変更についてのボディワークの詳細が最終決定された他、最低重量が740kgから743kgに引き上げられた。