フェラーリの2025年シーズンの苦戦に、またひとつ新たな“秘密”が浮上した可能性がある。チームは近く新しいリアサスペンションをスパで投入予定であり、直近では新型フロアを導入したばかりだが、F1イギリスGP後にシャルル・ルクレールが示唆した「もっと根本的な問題」に注目が集まっている。
「バランスの問題でもグリップの問題でもない。詳しくは言えないけど、僕たちのマシンには非常に奇妙なものがあって、それと闘わなければならないんだ」「特に高速域ではそれがさらに厄介になる。解決できるといいけど……詳しくは話せなくてごめん」とルクレールは語った。チーム代表のフレデリック・バスールも同様に詳細を明かすことは避けた。「シャルルが明かさないと言ったから、私もチームオーダーに従う。明かすつもりはない。修正は可能だが、何かに苦しんでいるのは確かだ」とコメントしている。独Sport1は、この問題がパワーステアリングに関係していると報じており、特に高速域での作動が不安定になる可能性を指摘。ルイス・ハミルトンもシルバーストンで「このマシンにある問題のいくつかは絶対に来年に持ち越せない」と語っており、複数のチームに共通する根本的課題である可能性もある。一方、バスールにとってはこのタイミングでの問題浮上は好ましい状況ではない。フェラーリのCEO、ベネデット・ヴィーニャは、現在バスールとの契約更新について「協議中」であることを認めている。伊Corriere dello Sportは、直近の数戦でバスールがフェラーリ上層部から厳しい視線を受けていることに注目。「モントリオールにはピエロ・フェラーリ、オーストリアには人事責任者のミケーレ・アントニアッツィ、そしてシルバーストンにはヴィーニャが同行していた」と伝えている。さらに同紙は、ヴィーニャがマクラーレンやザウバー=アウディと似たような「二重構造」のマネジメント体制を検討していると報道。フェラーリではザク・ブラウンとアンドレア・ステラに相当する“スーパーボス”をバスールの上に置くことで、現体制を修正する可能性があるという。ただしバスールはこれまでに「制限を受ける立場」を拒んできた経緯がある。2023年初頭にはジョン・エルカーン会長に「CEOのヴィーニャから完全に自由な立場でチームを率いる権限」を求め、それを実現させていた。それだけに、現在の「全権監督」体制そのものが再び議論の的になっているという。契約交渉の状況を聞かれたバスールは、シルバーストンで「交渉中だ。それ以上でも以下でもない」と語った。