F1イギリスGPの予選でふるわなかったシャルル・ルクレールは、かねてより悩まされていた不可解な挙動について口を開き始めた。これまで詳細は伏せられてきたが、問題の原因はフェラーリSF-25のパワーステアリングシステムにあるとみられている。予選Q3でのミスによって6番手に沈んだルクレールは、無線で激高した後、メディア対応では冷静さを取り戻し、こう語った。
F1イギリスGPの予選でふるわなかったシャルル・ルクレールは、かねてより悩まされていた不可解な挙動について口を開き始めた。これまで詳細は伏せられてきたが、問題の原因はフェラーリSF-25のパワーステアリングシステムにあるとみられている。予選Q3でのミスによって6番手に沈んだルクレールは、無線で激高した後、メディア対応では冷静さを取り戻し、こう語った。「問題はかなり限定的なんだ。バランスでもグリップでもなくて、車の中にある何か変なものと闘っている。特に高速コーナーになると状況が悪化する。詳しくは言えないけど、解決できることを願っている」ルクレールによれば、この問題はレース中よりも予選で最大限のパフォーマンスを引き出そうとするときに表れるとのこと。したがって、モナコやモントリオールのような低速コーナー主体のサーキットでは影響が少なく、マゴッツ~ベケッツなど高速コーナーが連続するシルバーストンでは顕著になるようだ。ルイス・ハミルトンも今回のレースでは同様の問題を感じなかったというが、「過去には経験したことがある」と認めており、チーム全体としての課題であることを示唆している。チーム代表のフレデリック・バスールも詳細は明かさなかったが、次のように述べた。「シャルルが話さないと決めたなら、私もその方針に従う。直せる問題ではあるが、確かに我々はある種の苦しみを抱えている」一体何が起きているのか。オートスポーツ誌によれば、その核心は「パワーステアリング」にあるという。F1のパワーステアリングは1990年代初頭に導入されて以降、ドライバーに自然なフィーリングを伝えるために年々進化してきた。だが現在のフェラーリは、高速コーナーで横Gがかかった際にステアリングフィーリングに違和感が生じている可能性がある。このような微妙な違和感は、限界領域で戦う予選ラップでは致命的となりうる。特にコーナー進入での入力が滑らかでなくなれば、ドライバーの自信も削がれ、タイムに直結する。この問題は特定のサーキットでしか現れないこと、そしてレースではそこまで顕著にならないことなど、ルクレールの証言と完全に一致している。マゴッツ~ベケッツや鈴鹿のような「高速コーナー連続型」コースで再発する懸念もある。かつても似たような問題に苦しんだドライバーは存在し、2021年のセバスチャン・ベッテル(当時アストンマーティン)やフェルナンド・アロンソも、自分のスタイルに合ったパワーステアリングの感覚を追求してきた。ルクレールは最後にこう語っている。「いくつかのアップグレードが予定されていて、特定の問題を解決できると思う。だから何とかして直していきたい。ちょっと悔しいけどね」2025年シーズンの折り返しを迎えた今、フェラーリがこの根深いフィーリングの問題をどこまで克服できるかが、後半戦のパフォーマンスを大きく左右しそうだ。