スクーデリア・フェラーリは、メルセデスから移籍したロイック・セラを2024年シーズン後半に同チームのテクニカルディレクターに任命する見通しであることが明らかになった。また、フェラーリは元メルセデスのテクニカルディレクターであるマイク・エリオットの獲得を断念した。チーム代表のフレデリック・バスールは、2022/23年の問題の多いゼロポッドカーコンセプトのエンジニアに「興味がない」と示している。
フェラーリは先月、エンリコ・カルディレが2025年のF1シーズンからアストンマーティンに加わることが発表されて以来、新たなテクニカルディレクターを探している。バスール自身は、カルディレの退社が確定して以来、暫定的にその役割を担っており、チーム代表としての職務と両立させている。フェラーリは5月、メルセデスから2人の人材を獲得したことを発表した。元マルシャおよびロータス・ルノーF1のドライバーであるジェローム・ダンブロジオは、10月からシャシーパフォーマンスエンジニアリングの責任者およびチーム代表代理として勤務する予定である。ロイック・セラがフェラーリF1の新テクニカルディレクターに?当初、ロイック・セラはカルディレの直属の部下として、トラックエンジニアリング、エアロ開発、エアロ運用、車両性能など、幅広い分野を担当する予定だった。しかし、カルディレの移籍が発表されたため、イタリアのメディア『Formu1a.uno』は、セラはシャシー部門のトップとテクニカルディレクターの役割を兼任し、間もなくアストンマーティンに移籍するカルディレの後任となる予定だと報じている。ロイック・セラは、カルディレがアストンマーティンに移籍したため、今年から空力部門のトップを務めていると報じられているディエゴ・トンディと協力することになる。報道によると、バスールがフェラーリで構築する技術体制は、マクラーレンの体制を模倣したものになる可能性が高く、セラ、トンディ、チーフプロジェクトエンジニアのファビオ・モンテッキの3人のテクニカルディレクターが、マシンの異なる領域を担当することになるという。マイク・エリオットは昨年メルセデスを去って以来、仕事に就いていないが、元シルバーアローのエンジニアは「フェラーリのレーダーには引っかかっていない」と言われている。ロイック・セラがテクニカルディレクターに任命されたという報道は、2025年シーズンのF1の目玉となるルイス・ハミルトンの契約にとって朗報となるだろう。昨年、ロイック・セラは、メルセデスでグラウンドエフェクト時代初期にエリオットのテクニカルチームが追求したゼロポッドコンセプトに対するハミルトンの懸念を共有していたと報道された。7度のワールドチャンピオンに輝いたハミルトンは、2022年と2023年に2年連続で勝利のないシーズンを経験した。マイク・エリオットは、昨シーズン序盤の不振を受けてジェームズ・アリソンと役割を交換し、10月にメルセデスを去った。フェラーリへのロイック・セラの移籍は、スクーデリアがレッドブルのテクニカルディレクターであるピエール・ワシェに対して何度も接触を試みたものの失敗に終わった後だった。バスールと前任者のマッティア・ビノット(2019年から2022年までフェラーリチームのボスを務めた)は、さまざまなタイミングでワシェとの契約を結ぼうとしていた。レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、ピエール・ワシェを引き留めるために「あらゆる手を尽くした」とされ、フェラーリからの引き抜きを断るために「すぐに」新しい契約を繰り返し提示したという。ロイック・セラはピエール・ワシェの親しい友人として知られており、2人はミシュランとBMWザウバーで共に働き、その後、メルセデスとレッドブルでそれぞれ頭角を現した。