ゲルハルト・ベルガーは、フェラーリF1チーム内のセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールとの関係がチームを2つの派閥に分裂させる危険性があると危惧している。フェラーリは、序盤戦で経験豊富なセバスチャン・ベッテルを優先する方針をとっており、開幕戦オーストラリアGPと第3戦中国GPではシャルル・ルクレールに対してチームオーダーが下された。
しかし、第2戦バーレーンGPでのパフォーマンスを含めてシャルル・ルクレールの方が速いと見るものが多く、ルクレールをナンバー1に据えるべきだとの声が高まっている。元フェラーリドライバーのゲルハルト・ベルガーは、2人のドライバーの扱いが政治的な温床となり、チーム内の忠誠心を分割する恐れがあると懸念している。「前回のレースで、セバスチャンは自分から要求することでそのような状況に自分を置くことになった」とゲルハルト・ベルガーはコメント。「引き離されることが確実ではない場合、このよな状況では最善の方法ではなかったかもしれない。すぐに2つの派閥を作ることになるからね」「現在、セバスチャンが難しい役割を担っているのは疑いのないことだ。若いドライバーが背後に迫り、ルイスを倒してフェラーリにチャンピオンシップをもたらさなければならないのだからね。それは最大の頭痛の種になるかもしれない」また、ゲルハルト・ベルガーは、マッティア・ビノットがチーム代表だけでなく、技術的な面も担っていることがマイナスに働いていると考えている。「通常、フェラーリでは責任を負うものが、すべての責任を負う」とゲルハルト・ベルガーは Autosport にコメント。「レッドブルを見れば、天才のエイドリアン・ニューウェイがいる。チーム代表として有能なクリスチャン・ホーナーがおり、ヘルムート・マルコもいる」「メルセデスを見れば、非常に有能なトト(ヴォルフ)がいる。エンジニア側には天才のアンディ・カウエルがおり、残念ながら今はここにはいないがニキ(ラウダ)もいる」「ビノットは素晴らしい技術者だと思っている。彼が政治的な議論などにあまりに多くの時間を使ってしまい、肝心なことのために時間を使い果たしてしまわないことが重要だ」ゲルハルト・ベルガーは、偉大なドライバーであるミハエル・シューマッハを軸に、シャン・トッド、ロス・ブラウン、ロリー・バーンが支えた全盛期のフェラーリの組織とはまったく対照的だと語る。「シューマッハの最大の強みのひとつは、人が最大限の力を発揮するために彼らをまとめる方法を知っていたことだ」とゲルハルト・ベルガーは語る。「彼がフェラーリに行ったとき、『ロス、僕と一緒に来てほしい。ロリー、あなたも一緒にきてほしい』と言った。その点で彼は優れていたし、そこがセバスチャンよりも優れている点だ。ミハエルは彼のチームのために人々を集めることにおいて素晴らしかった」「そこには3人の人がいた。当時の天才であるロリー、そして、ロスがおり、政治面とレギュレーションを扱うジャン・トッドがいた」「私にはフェラーリで誰が特定の役割を果たすことになるのかわからない。すべてにビノットが関与するのであれば、それは少し重いだろう」