F1撤退の可能性をほこめかしてきたフェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネは、F1の新オーナーであるリバティメディアが2021年以降のビジョンについて“潜在的に実現可能”なものに歩み寄りを見せているとし、この方向性で進めばフェラーリは長期的にF1にとどまることもできるかもしれないと満足げだ。昨年10月、リバティメディアとFIAが最初の2021年以降のF1エンジンレギュレーション案を提示した際、フェラーリは猛反発。
セルジオ・マルキオンネは、F1の次世代レギュレーションがフェラーリの希望にそぐわないければ、F1から撤退することもあると繰り返し警告してきた。リバティメディアは、パワーユニットメーカーとして自動車メーカーがF1に新規参入することを促進するために、F1エンジンを安価でシンプルにしたものにしたいと考えているが、フェラーリはテクノロジーの後退を招くとして反発している。しかし、4年初めにリバティメディアが発表した2021年以降のF1の将来についての計画では、エンジンは5つの核となる要素に含まれていたものの、フェラーリやメルセデスが難色を示していたMGU-Hの廃止は省かれていた。セルジオ・マルキオンネは、リバティメディアの新たな提案について、フェラーリも協力できる共通基盤を見いだすことができたと述べた。「2021年に計画されている改革の範囲に関して、リバティメディアが示した態度の変化に勇気づけられた」とセルジオ・マルキオンネは Reutersにコメント。「その中でも最大の兆候は、エンジンレギュレーションがスポーツの本質を反映すべきだという事実の認識が見られたことだ。新規参入に合わせるためだけにエンジン開発のレベルを引き下げるのはやはり良くないことだ。そう思わないか?」「現在テーブルの上にあるものは、システムとして潜在的に実現可能なものといえる。だが、経済的には違う。それに関してはリバティと再び話し合う必要があるだろう」フェラーリにとってもうひとつ重要なのは、分配金やこれまで得てきたステータスについてだ。長年、フェラーリは歴史的に特別ボーナスを得ており、レギュレーションへの拒否権という特権を有してきた。セルジオ・マルキオンネはソリューションを見つけるためにリバティメディアと密接に協力する意欲を表明し、2018年の終わりまでに企業としての今後のF1との関わり方を決断したいと述べた。「我々にとって重要なのは、パワートレインの技術開発の本質には手を付けないことだ。そこはフェラーリが生計を立てている活動の根幹にあるものだからね。商業権オーナーのリバティメディア、そしてFIAと引き続き協議を進め、良識的なバランスを見いださねばならないと思う」「それが実現しないのであれば、前にも言った通り、我々は撤退するだけだ」「だが、今はまだその段階ではない。我々はスポーツに対し、それらの項目を決定するために懸命に努力をする義務があると考えている。今年の終わりまでにそれを実現させるために努めていくつもりだ」