マーティン・ブランドルが、2026年F1レギュレーションに対して強い懸念を示した。ランド・ノリスの「意図せずオーバーテイクした」という発言を受け、ドライバーが完全にコントロールできないマシン挙動は根本的な問題だと指摘している。とりわけ問題視されたのは、電動エネルギーのデプロイ制御だ。従来のF1におけるドライバー主体の操作原則が崩れつつある可能性があり、FIAに対して早急な対応を求める声が強まっている。
「ドライバーが制御できない加速」は原則違反ブランドルは、ノリスの発言を受けて問題の本質を明確にした。「F1には昔からある非常にシンプルで重要な原則がある。ドライバーが単独でマシンを操作するということだ」「マシンが自己判断のように振る舞い、ドライバーにとって予期しない挙動を示すべきではない。出力はアクセル操作に比例しなければならない。それは基本中の基本であり、線形であるべきだ」ノリスは、バッテリーのデプロイ制御によって意図せずルイス・ハミルトンをオーバーテイクしたと説明しており、この点がブランドルの危機感を強めた。ベアマンのクラッシュより深刻な構造問題鈴鹿のスプーンで発生したオリバー・ベアマンの高速クラッシュも議論を呼んだが、ブランドルはこれを「昔から存在する問題」と整理する。「接近速度が非常に高かった。だがこれは新しい問題ではない。ル・マンでもF1でも、前方車両の減速による速度差は常に存在してきた」「以前は煙や匂い、エンジンの異変などで予兆を感じ取ることができた。ギアミスなどもあり、常に備える必要があった」つまり、速度差そのものではなく、「予測不能なエネルギー挙動」のほうが現代F1における新たなリスクだと位置づけている。電動出力の急増と“制御不能”の現実ブランドルは、2026年パワーユニットの構造そのものにも踏み込む。「電動出力は昨年の3倍に達している。その一方で、バッテリーはストレートの途中で尽きてしまう」「我々は完全に板挟みの状態だ。ハードウェアがこの要求に追いついていない」「この問題はここ2〜3年ずっと議論されてきた。つまり、根本的に欠陥がある設計だ」この指摘は、いわゆる“ヨーヨー現象”と呼ばれる加減速の不安定さにも直結している。エネルギーの使い切りによって速度差が急激に変動し、レースの予測性と安全性の両面に影響を与えている。FIAは対応必須 マイアミ前の修正も視野ブランドルは、FIAがすでに対応を迫られている状況だと見る。「これはもはや公然の問題だ。ドライバーたちは明確に不満を表明しているし、GPDAを通じて正式に伝えられているはずだ」「もし何も対応せずに重大事故が起きれば、FIAは責任を問われることになる」そのうえで、安全の優先順位についても独自の見解を示した。「最優先はファンだ。次にマーシャルやコースサイドのスタッフ、そしてピットクルー。ドライバーは最後だ」極めて現実的な視点だが、それだけに今回の問題が“観客を巻き込むリスク”を含むことを強調しているとも言える。それでもファンは「接戦」を評価一方で興味深いのは、ブランドルがファンの反応について語った点だ。「私が会ったファンに聞くと、多くが『今のレースは楽しい』と答える。接戦を評価している」「非公式な調査に過ぎないが、実際にそういう声を多く聞く」レギュレーションへの批判が強まる一方で、レースのエンターテインメント性は一定の支持を得ているという現実も浮き彫りになった。2026年F1は、電動化による新たな課題と、接戦が生む魅力の両面を抱えている。その中で「ドライバーが完全に制御できるマシン」という原則をどこまで維持できるかが、今後の最大の焦点となる。