2020年のF1世界選手権は、昨年にも増して熾烈な中団バトルが展開されると予想されている。昨年は、マクラーレンが145ポイントを獲得して“ベスト・オブ・ザ・レスト”となるコンストラクターズ選手権4位を獲得。エンジン供給元となるルノーを上回った。また、5位のルノーと6位のトロロッソとの差異はわずか6ポイントと最終戦まで接戦が繰り広げられた。
2020年はF1レギュレーションが安定していることもあり、翌年の大幅なレギュレーション変更にむけて予算の少ない中団チームは前年マシンのコンセプトを熟成させると考えられた。しかし、マクラーレンとルノーはコンセプトを大幅に変更。そして、レーシング・ポイントF1チームは前年の優勝マシンであるメルセデスW10をコピーした新車RP20を投入。また、新生アルファタウリ・ホンダは、昨年3位のレッドブル・ホンダRB15と瓜二つのマシンに仕上がっている。F1プレシーズンテストでは、この4チームが非常に拮抗したパフォーマンスを見せた。Auto Motor und Sportは、生のパフォーマンスではレーシング・ポイントが中団を抜け出していると分析。4.レーシング・ポイント + 0.8 s5.マクラーレン + 1.1 s6.ルノー + 1.2 s7.アルファタウリ・ホンダ + 1.4 sだが、区間ベストを繋いだ“理想タイム”ではルノーが一歩リードしている。4.ルノー - 1分16秒1765.レーシングポイント - 1分16秒4516.アルファタウリ - 1分16秒5617.マクラーレン - 1分16秒702逆にロングランではルノーとマクラーレンがほぼ同等。レーシング・ポイントは少し遅れ、さらに今回はあまり論争の的にはなっていないが、フェラーリのコピーであるハースと同様のパフォーマンスをみせた。しかし、レーシング・ポイントF1チームは、シェイクダウン同様の序盤の走行で速さを見せてからはデータ取りに集中。最終日にもあえてエンジンパワーを落としているように見受けられており、実際には3強チームの一角であるフェラーリを食う勢いがあるとも予想されている。残念ながら、アルファロメオはショートランとロングランの両方で輝きをみせることができておらず、昨年テールエンダーが定着してたウィリアムズと最後尾でバトルをすると評価されている。テストの段階ではアルファタウリ・ホンダはライバルに対してショートランでもロングランでもやや遅れをとっているが、レッドブルは同チームが“姉妹チーム”であると宣言しており、今後、レッドブルRB16に投入されている新パーツを順次卸していくとしている。また、進化を続けるホンダF1との3年目のパートナーシップも強みとなるはずだ。だが、当然ながら、名門チームのマクラーレンとルノーはこの状況に納得していない。マクラーレンは、マシンをコピーするのは“デザイナーとして最も避けるべきこと”だと主張し、ルノーは開幕戦でレーシング・ポイントのマシンに異議申し立てをするとも噂されている。対するレーシング・ポイントF1チームは、RP20はレギュレーションにまったく違反していないとし、メルセデスW10の写真をもとにチームのデザイナーがデザインをしたと主張。「メルセデスから購入できるはずパーツの3分の1しか購入していない」と語り、「ハースはレギュレーションが許す全てをフェラーリから購入している」と反論している。ともあれ、“コピー”マシンで戦うレーシング・ポイント、アルファタウリ・ホンダ、(ハース)と独自のマシン開発という信念を貫くマクラーレンとルノーのベスト・オブ・ザ・レストをかけた熾烈な中団バトルは2020年のF1世界選手権の注目ポイントになることは間違いないだろう。関連:2020年 F1オーストラリアGP テレビ放送時間&タイムスケジュール
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