F1チームは2023年シーズン終了までに2回のFP1セッションでルーキーを走らせるというレギュレーション上の義務を果たすべく、大きな課題に直面している。FIA(国際自動車連盟)の規則では、すべてのレーシングドライバーはFP1セッションを、2回以上グランプリに出場していないルーキーのために譲らなければならない。
ただし、シーズン開始時点でルーキーであるレースドライバーは出場資格があるとみなされ、マクラーレンのオスカー・ピアストリ、ウィリアムズのローガン・サージェント、アルファタウリのニック・デ・フリースは、開幕戦のFP1に参加した時点でこの条件を満たしたことになる。だが、昨年はウィリアムズがデ・フリース、レッドブルがジュリ・ヴィップスをバルセロナでFP1を走らせたのとは対照的に、2023年前半にFP1を走ったルーキーはいなかった。つまり、残り10レースでまだ17人のルーキー枠が残っており、今のところ正式に決定しているのはメルセデスのフレデリック・ベスティがメキシコで行うセッションだけだ。チームがFP1セッションのスケジューリングで直面する課題は、10レースが実質的に7レースしかないことだ。カタール、オースティン、インテルラゴスの3大会はいずれもスプリントウィークエンドで、FP1の後に日曜のグランプリ予選が行われるため、各チームがルーキーを走らせることは不可能だ。残りの7大会のうち、いくつかの大会も何らかの形で妥協が伴う。シンガポールとラスベガスは明らかにインシデントのリスクが高いストリートトラックであり、特に後者はレースドライバーが学ばなければならないまったく新しい会場であるため、ルーキーを起用する意味はほとんどない。さらにザントフォールト、モンツァ、アブダビはすべてFIA F2レースが開催される。チームは一般的にジュニアドライバーがF2と同じ週末に開催されるF1に気を取られることを嫌がる。まだチャンピオンの座やF1スーパーライセンスを目指して戦っている場合は特にそうだ。今年のF2チャンピオンシップの現在のトップ7候補は全員F1チームのジュニアドライバーであり、潜在的なFP1候補、すなわちテオ・プルシェール(アルファロメオ)、ベスティ(メルセデス)、岩佐歩夢(レッドブル/アルファタウリ)、ジャック・ドゥーハン/ビクター・マーティンズ(アルピーヌ)、オリバー・ベアマン(フェラーリ)、エンツォ・フィッティパルディ(レッドブル/アルファタウリ)がそれに該当する。倍増の懸念は、ザントフォールトとモンツァがFP1でF2ドライバーを見る可能性が低いことを意味し、イタリアでのF1金曜走行プログラムは代替タイヤ割り当ての週末であるためさらに複雑になる。しかし、カテゴリーがかぶっているにもかかわらず、アブダビの最終戦を最後のチャンスとしなければならないチームがいくつか出てくるのは避けられない。2022年には5チームがF2参戦者を出走させた。FP1の走行は、同じ会場で翌週に行われるルーキーテストに向けた準備の一環としても機能する。このような考慮事項は、現在F2でレースを行っていないF1予備軍には影響を及ぼさないため、チームに柔軟性が与えられる。そのリストにはアストンマーティンのフェリペ・ドルゴビッチ、ハースのピエトロ・フィッティパルディ、フェラーリのロバート・シュワルツマン、そしてメキシコGPが唯一ぶつかるレッドブル/アルファタウリのスーパーフォーミュラ参戦中のリアム・ローソンなどが含まれている。2023年のスケジュールで残る2つのトラックは鈴鹿とメキシコシティだが、ピレリが2024年のプロトタイプタイヤを両会場で金曜日に走らせるという点で、この2つのトラックにも多少の妥協が必要だ。さらに、鈴鹿はトリッキーで天候が乱れる可能性が高いため、ルーキーFP1セッションに使われることはほとんどない。しかし、レッドブルは2014年に10代のルーキー、マックス・フェルスタッペンをトロ・ロッソに乗せたことで有名で、2019年にもトロ・ロッソでホンダが支援する山本尚貴を走らせた。鈴鹿での経験を考えれば、ローソンはレッドブルの論理的な候補となり得るし、ヨーロッパに渡る前に鈴鹿で日本のF4に参戦していた岩佐歩夢は、アルファタウリとホンダにとって同イベントでの明らかなPR役となるだろう。そうなると、メルセデスがベスティですでに認識しているように、ピレリのテストがあるとはいえ、ルーキーが走るには比較的わかりやすい場所であるメキシコを残すのみとなる。したがって、アブダビと同様に、メキシコの週末はルーキーの活躍が目白押しになるだろう。