2026年F1レギュレーションを巡るエンジン論争が続く中、元F1ドライバーのデビッド・クルサードがFIAのルール策定姿勢を強く批判した。焦点となっているのはパワーユニットの圧縮比だ。従来は18:1だった圧縮比は、2026年F1レギュレーションで16:1へと引き下げられた。しかし2025年12月、メルセデスが測定条件の抜け穴を利用し、実走行時により高い圧縮比を実現している可能性があると報じられた。
問題視されているのは、圧縮比の測定が車両停止時かつ常温状態でのみ行われている点だ。エンジンが高温・高負荷状態にある実走行中の条件は想定されていないとされる。この抜け穴を塞ぐため、シーズン中のレギュレーション変更案が提案されており、パワーユニットメーカー、FIA、そしてF1の承認を経て投票にかけられる予定だ。メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、同チームのエンジンは合法であり、設計はFIAの承認を受けていると強調している。そうした中、クルサードはポッドキャスト番組でFIAの姿勢に疑問を呈した。「問題はここだ。あなたはFIA、つまり国際自動車連盟について言及した。彼らはF1の統括団体だ。最近こう言っていたのを読んだ。“我々は20人ほどでルールを書いているが、F1チームには何百人もいる。だから抜け穴を見つけられなかったし、閉じることもできなかった”と」さらにクルサードは次のように続けた。「率直に言って、もしルール策定者がF1マシンの作動ウインドウをより深く理解していれば…。F1マシンの作動ウインドウは、常温のガレージ内ではない。コース上だ。エンジンは110度、あらゆるものが限界状態で、ブレーキは1000度を超える。そうした環境こそが、ルールとレギュレーションを設計すべき基準だ」2026年F1シーズンは新時代の幕開けと位置づけられているが、技術的な解釈を巡る攻防はすでに激化している。今回の圧縮比問題は、レギュレーション策定とその運用の在り方を改めて問う事例となっている。