ゴードン・マレーは、ル・マンGTRとS1 LMという2台のトラック志向型スーパーカーを、新設されたスペシャル・ビークル部門から発表した。ゴードン・マレー・グループは、既存のGMAモデルと同じエンジニアリング手法を用いつつ、オーナーと密接に協力して独自のデザインと仕様を開発した、極めて特注性の高いスーパーカー群を展開する「GMSV(ゴードン・マレー・スペシャル・ビークルズ)」部門を設立した。
今回発表されたル・マンGTRとS1 LMは、その最初のモデルとなる。モントレー・カーウィークで公開された2台は、GTRが往年のロングテール・レーサーに着想を得たサーキット専用スーパーカー、S1 LMがマレーのル・マン優勝マシン「マクラーレンF1 LM」を現代に再現した公道仕様マシンだ。残念ながら入手はもう不可能で、24台限定のル・マンGTRはすでにすべて完売、S1 LMも依頼主のためにわずか5台のみ製造される。ゴードン・マレーのスーパーカーは、T.50sニキ・ラウダを除けば基本的にロードカーとして最適化されてきたが、今回の2台は新たな方向性を示す。ル・マンGTRは新開発のGMSVプラットフォームを採用し、軽量かつ高剛性のサスペンション、ワイドトレッド、ミシュラン・カップ2タイヤ、サーキット用冷却システムを搭載。心臓部には自然吸気のGMA製V12エンジンを搭載し、ソリッドマウントされ、後輪を6速マニュアルギアボックスを介して駆動する。レブリミットは驚異の12,100rpmに達する。ル・マンGTRエンジンとギアボックスを除けば「ほぼすべての要素」がGTR専用に変更されている。低ドラッグ設計のエアロパッケージはグラウンドエフェクトとツインチャンネルディフューザーを備え、リアにはフル幅ウイングを装備。T.50に見られたリアマウントファンは搭載されていない。内装もサーキット志向を徹底し、専用ダッシュボードやスイッチ類、ダイヤル、シートクッション、ペダル類が採用される。顧客はモータースポーツ風のカラーリングから完全オーダーメイドまで、自由に仕様を選ぶことができる。一方、S1 LMはさらに踏み込み、完全に特注の1台として設計された。公道走行可能ながらサーキット性能を強調しており、マクラーレンF1 LMと同様のコンセプトを持つ。フロントクラム形状、ルーフ上のエアインテーク、リアウイング、丸型リアライト、センター出し4本テールパイプなど、F1 LMを彷彿とさせる要素を備える。フロントスプリッターや大型リアディフューザーを含む空力パッケージは、サーキットでの性能を高めるために設計された。シャシーもよりハードに仕立てられ、ソリッドマウントされた自然吸気V12はT.50より大きい4.3リッター仕様となり、12,100rpmまで回り、6速マニュアルを介して駆動する。S1 LM今後もGMSVからは、ワンオフモデルや、ゴードン・マレーの歴史的モデルを忠実に再現または現代風に再構築したモデルなど、特注スーパーカーが続々と登場する見込みだ。