ゼネラルモーターズ(GM)の強力な支援を受けるキャデラックのF1新チームに向けて、2026年の2つのレースシートを巡る候補者リストに、またひとつ新たな名前が加わった。すでにセルジオ・ペレス、バルテリ・ボッタス、周冠宇、ミック・シューマッハといったF1経験者が有力候補として挙がっているが、当初は「F1経験豊富なドライバー」と「アメリカ人インディカー・スター、コルトン・ハータ(F1スーパーライセンス未取得)」を組み合わせるプランが有力と見られていた。
同チームの中核人物であるダン・タウリスは、Arkansas Democrat Gazetteの取材に対し、こう語っている。「このチームには非常に多くの関心が寄せられており、我々はそれをありがたく思っている」タウリスは、チームをアメリカ人ドライバー中心に据えるという願望を隠していないものの、当面は別のアプローチが必要になる可能性も認めている。「我々としては、そのアメリカ人ドライバーが成功できる環境を整えたいし、そのシートが適切に尊重されることを望んでいる。だから、そのドライバーをF1に迎えるためには、適切な方法とタイミングを見つける必要がある」パドック内では、キャデラックが当面ハータをインディカーにとどめ、アメリカ市場の関心を別の形で引きつける戦略を取るのではないかという見方が強まっている。その選択肢のひとつとして名前が挙がっているのが、同じくインディカーのスターであるメキシコ人ドライバー、パト・オワードだ。マクラーレンのインディカーチームでオワードを起用しているCEOのザク・ブラウンは、キャデラックとの関係について聞かれ、否定はしなかった。「それは好ましくはないが、止めるつもりもない」とブラウンは語っている。さらに注目すべき新たな候補として、NASCARドライバーのカイル・ラーソンの名前も浮上。前述のArkansas Democrat Gazetteによれば、彼はその才能において「マックス・フェルスタッペンに匹敵する」とも評されるという。この件について、AP通信がGMのマーク・ロイス社長に質問したところ、ロイスは「まずはインディアナポリス(インディ500)に集中しよう」と回答。実際、32歳のラーソンは今年2回目のインディ500に参戦しており、今回もマクラーレンからのエントリーとなっている。最後に、ロイスはキャデラックのF1プロジェクトに対して、ドナルド・トランプ前大統領による関税強化政策が影響を及ぼすかとの質問に対し、こう否定した。「(関税の影響は)我々にとって約50億ドルにのぼるが、F1プロジェクトには影響しない」