17年の時を経て、マクラーレンが再び母国レースを制した。しかも前回と同じくイギリス人ドライバーによる勝利だ。2008年にチェッカーフラッグを最初に受けたのはルイス・ハミルトン、そして今日その座に就いたのはランド・ノリスだった。さらにチームにとっては、オスカー・ピアストリが2位に入り、今季5度目、通算54回目のワン・ツーフィニッシュという嬉しいオマケもついた。今回の勝利でノリスのF1通算勝利数は8となった。
そして239戦目を迎えたニコ・ヒュルケンベルグはついにF1初表彰台を獲得。これはF1史上、最も長く表彰台を待ったドライバーという記録だ。この表彰台はザウバーにとっても11回目の快挙(BMWと提携していた時期を除く)であり、最後の表彰台は2012年日本GPの小林可夢偉による3位までさかのぼる。シルバーストンで「イングリッシュ・ウェザー」が大暴れ「イギリスの天気」――「天気が気に入らなければ10分待て」「1日で四季すべてを体験できる」など、英国にまつわる天候の決まり文句はいくつもあるが、今日のシルバーストンはそのすべてを体現した。小雨、霧雨、曇天、晴れ間、大雨、気温の変化と、めまぐるしい天気により、今日のレース展開はまさに「イングリッシュ・ウェザー」に左右されたものだった。その結果、ピレリが用意した5種類のドライおよびウェットタイヤのうち、エクストリームウェットを除く4種類がすべて実戦投入された。フォーメーションラップでは全車がインターミディエイトで出走したが、スタート前にルクレール、ラッセル、ベアマン、ハジャー、ボルトレトの5名がスリックタイヤに交換。ルクレール、ハジャー、ボルトレトはミディアムを、ベアマンとラッセルはハードを選択した。また、コラピントもハードタイヤでピットレーンスタートする予定だったが、パワーユニットのトラブルで即リタイアとなった。まもなく雨が降るとされる中、路面は乾いていたため、ストロール(ソフト)、アントネッリ(ハード)、ボルトレト(ミディアム)もスリックに切り替えたが、雨は予想より早く到来。インターで走り続けたドライバーたちが有利となった。ただし、アストンマーティンのストロールだけは、最も柔らかいソフトタイヤのグリップを活かして4周のみ良い走りを見せた。レース中盤はほとんどインターミディエイトで進行。グリーンバンドのタイヤは非常に長いスティントでも安定したパフォーマンスを発揮し、乾き始めた路面でも、少なくともレーシングライン上では十分に機能した。終盤になると再びスリックに戻す状況となり、ミディアムおよびソフトが特に効果を発揮した。マリオ・イゾラ(ピレリ モータースポーツ部門ディレクター)のコメント「F1の75周年を祝うのに、これ以上ふさわしい週末はなかったと言っていいと思う。今日の雨は観客にとっては少し大変だったかもしれないが、それでも4日間で約50万人がシルバーストンに足を運び、最高の時間を過ごせたと思う。昨日の予選は予測不能だったし、今日の決勝もまた同様だった。マクラーレンのワン・ツーフィニッシュと、ニコ・ヒュルケンベルグのF1初表彰台に心からおめでとうと言いたい。まさに驚きの結果だが、完全に実力でつかみ取った成果だ。技術面に関しては、昨年と同じように5種類のうち4種類のタイヤが実戦で使用された。エクストリームウェットだけが出番なしだったのは少し残念だが、その性能をインターと比較する良い機会にはなったかもしれない。今日の主役は間違いなくインターミディエイトで、スタンディングウォーターが多い場面でも、乾きかけた路面でも競争力を保っていた。もちろん、グレイニングや著しい摩耗も見られたが、それは路面状況によるもので、各ドライバーはレース展開に応じてタイヤの使い方を上手く調整していた。我々の活動はまだ終わりではなく、火曜と水曜には再びサーキットに戻り、2026年仕様タイヤの開発テストを実施する。ザウバーからはガブリエル・ボルトレトが両日走行し、アストンマーティンからはランス・ストロールとフェリペ・ドルゴヴィッチが交代でテストを行う予定だ」