マクラーレンのランド・ノリスが、コンディションが変化する難しい状況の中でメルセデスのキミ・アントネッリを抑え、F1サンパウロGPのスプリントで勝利を収めた。同僚オスカー・ピアストリは序盤にクラッシュでリタイアを喫した。序盤は比較的落ち着いた展開で始まり、ポールポジションのノリスがスムーズにリードを守った。
しかし数周後、ピアストリがターン3の濡れた縁石に乗ってウォールにクラッシュ。すぐ後にニコ・ヒュルケンベルグとフランコ・コラピントも同じコーナーでコントロールを失い、立て続けにクラッシュが発生した。この影響でスプリントは赤旗中断に。コース修復後、再開後もノリスがリードを守ったが、終盤にはソフトタイヤのリアが苦しくなり、アントネッリの猛追を受けることとなった。最終的にはキック・ザウバーのガブリエル・ボルトレトが激しくクラッシュし、ダブルイエローのままレース終了。ノリスはわずか0.845秒差でアントネッリを抑えてチェッカーを受け、選手権リードを広げた。メルセデスのジョージ・ラッセルが3位で続き、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが4位でポイントを獲得。タイトル争いの望みをつないだ。フェラーリのシャルル・ルクレールは終盤にアストンマーティンのフェルナンド・アロンソをかわして5位に入り、もう1台のフェラーリのルイス・ハミルトンが7位、アルピーヌのピエール・ガスリーが8位でポイントを得た。金曜には1時間のプラクティスとスプリント予選が行われ、ノリスが100kmのスプリント(上位8名に8〜1点が与えられる形式)でポールを獲得していた。アントネッリはノリスにわずか0.097秒差のタイムで続き、3番手と4番手にはそれぞれピアストリとラッセルが並んだ。一方で、タイトル争いのフェルスタッペンは中盤区間でタイムを失い6番手にとどまり、フェラーリ勢もペース不足でルクレールが8番手、ハミルトンが11番手に終わった。土曜は一時的な雨が予想されていたが、スプリント開始時には晴れ間が広がり、コースの一部がまだ濡れている状態だった。パルクフェルメ下での変更により、角田裕毅とカルロス・サインツ(予選18番手と20番手)はピットレーンスタートとなった。角田はフロントウイング/ノーズアッセンブリとサスペンションの変更、サインツはサスペンションセットアップの変更による。スタート前には、ダンピングのある路面のためスリックかインターかの判断が注目されたが、最終的に大半のドライバーがミディアムを選択。アントネッリ、ラッセル、フェルスタッペン、ルクレール、アイザック・ハジャー、アレックス・アルボンの6名がソフトを選んだ。2025年F1サンパウロGP スプリント 順位・結果1.ランド・ノリス(マクラーレン)2.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)3.ジョージ・ラッセル(メルセデス)4.マックス・フェルスタッペン(レッドブル)5.シャルル・ルクレール(フェラーリ)6.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)7.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)8.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)9.ランス・ストロール(アストンマーティン)10.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)11.エステバン・オコン(ハース)12.オリバー・ベアマン(ハース)13.リアム・ローソン(レーシングブルズ)14.角田裕毅(レッドブル)15.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)16.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)17.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)DNF.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)DNF.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)DNF.フランコ・コラピント(アルピーヌ)スタートノリスはポールから完璧なスタートを決め、ターン1までにリードを奪取。2番手のアントネッリはピアストリのプレッシャーを受けながらもポジションを死守した。後方ではフェルスタッペンがアロンソをかわして5番手に浮上し、ハミルトンも順位を上げて8番手、チームメイトのルクレールの後ろにつけた。ランス・ストロールは2ポジションを落として9番手に後退。そのさらに後方では、オリバー・ベアマンとリアム・ローソンがターン4で接触し、ベアマンがスピンして18番手まで後退。この件はスプリント後に審議対象となった。4周目までにノリスはアントネッリに対し約1.5秒のリードを築き、トップ5はそれぞれクリアな走行を維持していた。後方ではアロンソの後ろでルクレールとハミルトンが激しい攻防を展開。赤旗中断6周目、ピアストリが縁石に乗りすぎてターン3でウォールにクラッシュ。濡れた路面に水が流れ込んだことで、直後にヒュルケンベルグとコラピントも同じ場所でコントロールを失ってクラッシュ。セーフティカーが導入された。ヒュルケンベルグは自力でピットに戻ったが、ピアストリとコラピントはリタイア。コース修復が必要となり、赤旗が掲示された。再開時には、残ったマシンがピットレーンのファストレーンに整列。ヒュルケンベルグのマシンも修復され、再出走が許可された。セーフティカー先導のローリングスタートが行われ、残り15周で再開。再スタートでもノリスが完璧な立ち上がりを見せ、アントネッリがラッセルの攻撃を抑えて2番手を維持。アロンソは4番手のフェルスタッペンを狙ったが、抜くことはできず5番手をキープ。その後はフェルスタッペンが逃げ、アロンソは再びルクレールに追われる展開となった。後半戦の攻防スプリントの半分を過ぎた時点で、ノリスはアントネッリに1.2秒差をつけてリード。3番手ラッセル、4番手フェルスタッペン、5番手アロンソ、6番手ルクレール、7番手ハミルトン、8番手ストロールという順位。9番手のガスリーはストロールを猛追していた。アロンソはエンジニアから「リフト・アンド・コースト(燃料・温度管理)」の指示を受ける一方で、ガスリーは無線で「フェラーリはアロンソを抜くべきだ」と状況を報告。一方トップでは、ノリスが赤旗中断中に交換したソフトタイヤのリアグリップに苦戦していた。乾きつつある路面でアントネッリとの差は1.1秒、徐々に縮まり始める。20周目にはその差がわずか0.4秒に。後方ではルクレールがついにアロンソをかわして5番手に浮上。アロンソはすぐ後ろのハミルトンに追われる形となった。フィニッシュ最終周、アントネッリがノリスを猛追。だが、母国の声援を受けていたボルトレトが大クラッシュを喫し、ダブルイエローのままチェッカー。ノリスが優勝し、ピアストリとの差を9ポイントに広げた...