F1は、サンパウロGP開催地インテルラゴスに接近中の温帯低気圧(エクストラトロピカル・サイクロン)の影響により、週末のスケジュールに混乱が生じる可能性に備えている。ブラジル国立気象研究所(INMET)は金曜夜から南部地域でサイクロンが発生すると警告しており、インテルラゴス周辺では1時間あたり30〜60mmの豪雨と最大時速100kmの強風が予想されている。
最も厳しい気象条件は金曜夜から土曜にかけてと見られ、セッション実施のみならず、移動にも支障が出る可能性がある。現地は非常に不安定な天候が続く見込みで、FIAおよびF1運営にとっても判断が難しい週末となりそうだ。■ スプリントと予選のスケジュール変更案スプリントレースは現地時間11時(日本時間23時)に予定されており、その後15時(日本時間翌3時)からグランプリ予選が行われるスケジュールだ。レギュレーション上、スプリント終了から予選開始までは最低3時間の間隔を空ける必要があるため、F1が自由に調整できるのは2〜3時間程度と限られる。日没が18時30分前後であることを考慮すると、予選開始は最遅でも17時前には行わなければならない。したがって、スプリントが長引けば、予選の延期またはキャンセルの判断も視野に入る。天候が危険と判断された場合、FIAはスプリントの中止、もしくはグランプリ予選を日曜午前に移す可能性がある。これは昨年のブラジルGPでも実際に発生しており、豪雨によって予選が翌日に順延された経緯がある。■ 昨年の前例と新ルールの適用可能性2024年大会では豪雨により予選が日曜午前に延期され、結果的に非常に長い1日となった。混乱の中でマックス・フェルスタッペンが17番グリッドから劇的な優勝を飾ったのは記憶に新しい。今年から導入された新ルールでは、万一予選が実施不可能となった場合、暫定的にドライバーズ選手権順位をもとに決勝グリッドを決定できる仕組みがある。この場合、現時点でランキング首位のランド・ノリス(マクラーレン)がポールポジション、2位のオスカー・ピアストリがフロントロー、そして3位のフェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が2列目スタートという並びになる。■ 予想される展開と注目ポイント現地の天候が最悪の場合、FP1でのデータ不足やスプリントキャンセルにより、各チームの戦略は混乱必至だ。スプリントでの得点機会が失われると、わずか1ポイント差でタイトル争いをリードするノリスとピアストリにとって、決勝が一層重要な意味を持つ。また、レッドブル・レーシング勢はウェット時の挙動に課題を抱えており、雨天になればマクラーレン勢が依然有利と見られる。一方で、荒天下では安全面が最優先されるため、FIAがどの段階で走行可否を判断するかが週末最大の焦点となる。