2025年F1第13戦ベルギーGPに先立ち、スパ・フランコルシャンのパドックで木曜恒例のドライバー記者会見「パート2」が行われた。登壇したのは今季フェラーリに加入したルイス・ハミルトン、メルセデスのルーキー、キミ・アントネッリ、そしてウィリアムズで新たな挑戦を続けるカルロス・サインツの3名。各ドライバーが前半戦の自己評価や、所属チームでの苦労、新レギュレーションへの見解など、多岐にわたるテーマについて語った。
特に注目を集めたのは、ハミルトンが語るフェラーリ内での積極的な提言や、アントネッリの将来を巡る契約問題、サインツが古巣フェラーリ時代に共に働いたローラン・メキースのレッドブル新代表就任に対するコメントだった。また、3人は2026年の新技術規定に向けた適応の難しさや、現代F1のレース環境における心身の負荷にも言及し、舞台裏でのリアルな姿を明かしている。Q:カルロス、とても準備万端に見えますね。ではまずあなたから始めましょう。シーズンの折り返し地点に来ましたが、あなた自身とウィリアムズについて通信簿を書くとしたら、どう評価しますか?カルロス・サインツ: うーん、難しい質問だけど……アップダウンがあったって書くかな。正直、フラストレーションの多い前半だった。クルマに十分な速さがあると感じてるし、チームにもすぐに順応できた。シーズン序盤からスピードはあったと思うけど、結果を2つ連続で出すのが本当に難しかった。信頼性の問題があったり、他のドライバーとの接触があったり、オーストリアではスタートすらできなかったり。Q1でトラフィックに引っかかったり、戦略ミスもいくつかあった。だから、結果という面では何一つ噛み合ってない。でも、その中にもスピードはあったし、正しい方向に進んでる手応えはある。ただ、結果がついてこないときって、やっぱりもどかしいんだよね。Q:ウィリアムズというチームについて特に適応が難しかった点は?サインツ: いろいろな要素があるけど、やっぱりミッドフィールドに戻ってきたことの難しさかな。Q1で何度か、ほんの10ミリ秒差で落ちたことがあるけど、その10ミリ秒が週末全体を左右する。トップ3やトップ4のクルマなら後方スタートでも挽回できるけど、中団ではみんなレースペースが似てるから、追い上げは相当難しい。あと、フェラーリとはまったく違うクルマだってこと。制限やドライビングスタイル、求められるセットアップがまるで違う。でもその部分には割とすぐ慣れたと思う。それよりも、エンジニアやチーム、戦略面の意思決定におけるコミュニケーション、どうやって正しい判断にたどり着くか……そういった部分に慣れるには少し時間が必要だったかな。Q:キミ、ではあなたにも同じ質問を。前半戦を振り返って、自分とメルセデスにどんな評価をしますか?キミ・アントネッリ: チャレンジングだった。いい瞬間もあったけど、落ち込むことの方が多かったと思う。ヨーロッパラウンドは正直うまくいかなかった。自分のミスもあったし、いくつか問題もあった。まだまだ学ぶことが多いし、情報を整理して身につけるのが難しい時もある。特に連戦になると、週末ごとの学びをすぐに次に活かすのが大変で……そこが難しかった。予選も課題のひとつだね。最後の数テン分を詰めるところで、まだ思ったように合わせ込めてない。でも、全体としてはポジティブだと思う。たくさん学んでるし、いい結果もいくつか出せた。後半戦では、自分の中で一歩上の安定感を見つけることが重要かな。Q:これまで17週間で12戦という過密日程でしたが、F1のスケジュールに順応するのは大変でしたか?アントネッリ: うん、やっぱりリズムがすごく速かったと思う。特にトリプルヘッダーのあとなんかは、どうやって自分のエネルギーを管理するかを見直さないといけなかった。どこでリカバリーして、どこで集中するか。そういう精神面のマネジメントが必要だってことも学んだよ。今は後半戦に向けて、より明確なビジョンと準備があると思う。Q:ルイス、ようこそ。今週末のフェラーリには注目が集まっています。先週ムジェロで新パーツのテストをしたそうですが、クルマの感触はどうでしたか?ルイス・ハミルトン: テストじゃないよ。あれはただのフォトシュート。10周か14周くらい走っただけで、撮影用の走行だった。テストじゃない。Q:なるほど。ただ、その10周でも何かフィーリングの変化は感じましたか?ハミルトン: 前と同じだったよ。数週間前と変わらなかった。Q:オーストリアでは新しいフロアが導入され、今週は新しいサスペンションも入っています。今週末はこのクルマの真のポテンシャルが見える週末になりそうですか?ハミルトン: いや、どうかな。まずは明日、そのサスペンションを試すことになるけど、そこから何か学べると思う。微調整して、そこから性能を引き出せるかどうか試していく。シミュレーターでは違いは特に感じなかったけど、サーキットによっては何かしらメリットがあるかもしれない。ただ個人的には、ムジェロで“新しいパーツが届いた”という事実がポジティブだった。バーレーンでフロアを一度アップグレードしてから、しばらく何もなかった。次がオーストリアだったと思うけど、期待したほどじゃなかった。レッドブルとかメルセデスは、毎週のように小さなパーツを持ち込んでるよね。でもうちは大きな改良を段階的にやってるから、そういう意味でも今回の新パーツは嬉しかった。ファクトリーが懸命に開発を進めてくれてるのが見えた。あとはその効果が結果として現れるのを待つだけだね。今週末にそれを試してみる。記者からの質問Q:キミ、契約交渉や発表のタイミングについてですが、夏休み前は発表が多くなる時期です。現在の進捗はどうですか?トトはあなたとジョージのラインアップになる可能性が高いと話していますが、自分の契約年数に関して発言権はありますか?アントネッリ: それは100万ドルの質問だね。Q:(笑)それが報酬額ってこと?ハミルトン: 契約交渉、手伝ってやろうか?トトの扱い方なら知ってるよ。アントネッリ: はは、ありがとう(笑)。でも、正直、不安に思ったことはないよ。自分の状況はわかってるし、チームが何を望んでいるのか、将来をどう見ているのかも理解してる。トトも最近そのことをはっきり話してくれてるし、それも嬉しかった。チームはうまく機能してるし、ジョージとのコンビネーションもうまくいってる。ふたりでチームのパフォーマンスを引き出そうと努力してるし、雰囲気もすごく良い。ファクトリーに戻っても、みんなが...
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