2021年のF1世界選手権 第6戦 F1アゼルバイジャンGP 決勝でのタイヤ戦略をF1公式タイヤサプライヤーのピレリが解説した。レッドブルのセルジオ・ペレスが、P Zeroレッド・ソフト~P Zeroホワイト・ハード~P Zeroレッド・ソフトの2ストップ戦略で優勝した。残り3周時点で、トップを走っていたレッドブルのマックス・フェルスタッペンに発生したアクシデントによって、レースは赤旗中断となった。赤旗に関するレギュレーションの下、ドライバーたちは最後のスティントへ向けてタイヤ交換を行うことができた。
赤旗中断になるまで、大半のドライバーがソフトからハードへ繋ぐ戦略を選択していた。彼らは、赤旗中断中にソフトへ交換した。レース中盤、左リヤタイヤのパンクによって、アストンマーティンのランス・ストロールがピットレーン入口付近でクラッシュしたことを受け、セーフティカーが導入された。ピットレーンがオープンされると、5名のドライバーがタイヤ交換を行った。左リヤタイヤに発生したインシデントの原因調査に関する最初の観察結果として、問題となったタイヤと同等もしくはそれ以上の周回を走行したほかのタイヤには、過度の摩耗などの兆候は一切見られず、一方、ルイス・ハミルトンが同じスティント中に装着していた左リヤタイヤにカット痕が発見されていることが挙げられた。また、問題発生前に警告やバイブレーション等は無く、このサーキットにおいて左リヤタイヤが最も負荷のかかるタイヤではないことも分かっている。これらのことから、何らかの外部的要因が存在した可能性も排除できない。昨日よりも冷涼な天候となり、スタート時の気温は約26℃、路面温度は39℃ほどだった。■各コンパウンドのパフォーマンス【ハードC3】アゼルバイジャンでの鍵を握るコンパウンドとなり、大半のドライバーが長い第2スティントでハードを使用した。【ミディアムC4】主にソフトとハードが使用され、ミディアムはスタート時に3名のドライバーが使用したのみだった。【ソフトC5】トップ10グリッドを含む多くのドライバーがソフトでスタートした。2位を獲得したアストンマーティンのセバスチャン・ベッテルは、18周のオープニングスティントをソフトで走行し、レース序盤には一時トップを走行した。マリオ・イゾラ(ピレリF1およびカーレーシング責任者)「ランス・ストロールとマックス・フェルスタッペンのマシンで発生したインシデントを完全に理解するために、その背後にある事実を明確にする必要があります。現時点で言えることは、ハミルトンの左リヤタイヤにもカット痕が存在していたこと、また、このサーキットでは左リヤタイヤよりも右リヤタイヤの負荷が高いことです。警告やバイブレーション等は検出されておらず、問題となったタイヤと同等もしくはそれ以上の周回を走行したほかのタイヤにおいては過度の摩耗はありませんでした。したがって、今回のようなことはあってはならないことであり、回答の必要性を理解していますが、外部的要因が存在した可能性を排除できない状況です」