2025年F1オーストリアGPの木曜記者会見には、メルセデスF1のトト・ヴォルフ、キック・ザウバーのジョナサン・ウィートリー、レーシングブルズのローラン・メキースが出席。前戦カナダGPの結果や今週末の見通しに加え、2026年レギュレーションやドライバーラインアップの話題が中心となった。ヴォルフはジョージ・ラッセルへの信頼を強調しつつ、アンドレア・キミ・アントネッリの成長に手応えを示し、マックス・フェルスタッペンとの交渉については明言を避けた。
ウィートリーはキック・ザウバーの進歩に手応えを示し、ニコ・ヒュルケンベルグの経験とガブリエル・ボルトレトの成長を評価。メキースはアイザック・ハジャーの急成長を称えながら、今後の育成環境の重要性を説いた。Q: まずはFP1で最速タイムを記録したチームの代表から始めましょう。トト、まだ週末は始まったばかりですが、モントリオールの再現にどの程度の自信がありますか?トト・ヴォルフ:こんにちは、みなさん。礼儀正しい質問から始まってうれしいよ。自信なんてない。このサーキットはこれまで私たちに優しくなかったし、粗いアスファルトはうちのマシンが得意とするところじゃない。今日はジョージが最速だったけど、それは気温が低くて雲がかかってたから。だから現実的に構えて、明日・明後日が暑くなったときに、今のパフォーマンスを維持できるかどうかを見極めないといけない。予報では気温が上がるって出てるしね。だからFP1で速かったからといって、そのまま夕陽に向かって走ってトロフィーを持ち帰るなんて、そんな簡単にはいかない。Q: ではドライバーについてお聞きします。キミ(アントネッリ)についてですが、カナダでの表彰台は彼にどんな影響を与えると思いますか?彼自身は「今こそ前進すべきときだ」と語っていますが、あなたもそう思いますか?ヴォルフ:一番大事なのは、成長の流れがポジティブに続いているかどうかだと思う。去年を思い返せば、モンツァで彼を起用したのは、正直あまり賢い判断じゃなかった。大きなプレッシャーを与えてしまったし、あのときの接触もあって、本人の中で引っかかってたと思う。でも今回の表彰台で「自分には速さがある」と証明できたと思う。シーズンを通して、私たちは彼に自由を与えてきた。探ってみる自由、ちょっと控える自由、自信があるときには限界までプッシュする自由。その意味で、彼には将来チャンピオンになるだけの素質があると思ってる。Q: ジョージ・ラッセルについては?今年すでに5回の表彰台、そして勝利もあります。2026年の契約を勝ち取るには、彼はこれから何をすべきでしょう?ヴォルフ:何もする必要はないよ。彼はもう10年くらいメルセデスのプログラムの一員で、私たちの期待にずっと応えてきた。そして今もそれを続けてる。ここ3年、私たちは彼にタイトルを争えるクルマを用意できていない。それは完全に私たちの責任だ。でもクルマが良ければ、彼は勝っている。今日みたいに、彼がマシンに乗れば、その中にある力をすべて引き出してくれる。とはいえ、毎年夏になると、契約に関する話題がメディアの中で加速していく。情報が少ないから加速するんだ。でも私はこの30年間、普通のビジネスの世界でやってきたけど、契約の話を全社員向けのタウンホールでやったことなんてない。今回もすべて予定通りに進んでるよ。Q: ジョージはあなたのリストの中で来季の最有力候補ですか?ヴォルフ:当然そうだよ。彼はうちでレースに勝ってきたし、ずっとメルセデスのジュニアだ。長年チームにいるしね。Q: 昨日ジョージは「フェルスタッペンとの交渉が遅れの原因」と言いましたが、他チームとの交渉もしている可能性があると思いますか?ヴォルフ:そのへんはあまり公開の場で話したくないけど、人は話すし、いろいろ探るものだよ。一番大事なのは、私たちのチームの中ではすべてが透明であるということ。それに、そんなことがあったとしても、ジョージに対する私の評価や信頼が1ミリでも変わることはない。Q: ジョナサン、あなたに伺います。ここ2戦連続で、まったく異なるタイプのサーキットでポイントを獲得しました。その中で最も満足している点はどこですか?ジョナサン・ウィートリー:チーム全体のパフォーマンスだね。一番うれしいのは、マッティアがほぼ1年前に始めた取り組みがようやく成果を出し始めているということだ。開発ツール同士の整合性が取れてきていて、クルマに投入しているパーツが正しい方向に進んでいると感じられている。ドライバーたちもマシンへの信頼感を高めているし、C45の理解も10戦前に比べて格段に深まった。チームの中にいい勢いが生まれていて、すごくポジティブなエネルギーがあるよ。Q: 今週末も新しいパーツを投入していると聞きました。フロアエッジやリアウイングなど。FP1を終えて、データはどうでしたか?ウィートリー:まだ評価にはちょっと早いかな。これからデータをじっくり見て分析する必要がある。トトも言っていたけど、今日は気温の変化が激しかったから、セッション全体として面白い内容だったよ。ロングランもこなしたけど、日曜は今日と同じようなコンディションにはならないだろうし、もう少し分析が必要だね。とはいえ、現時点ではフィーリングはポジティブだよ。Q: トトに続いてドライバーの話題に移ります。ニコ・ヒュルケンベルグがポイントを稼いできていますが、今年の彼について最も印象的な点はどこですか?ウィートリー:彼のキャリアは長年見てきたけど、一緒に仕事をしてみて本当に素晴らしいと思ってる。すごくプロフェッショナルで、グランプリ週末への取り組み方が理にかなっていて冷静なんだ。私の見る限りでは、彼はすべてを備えたドライバーだよ。彼は今、アップグレードされたクルマをすごく楽しんでいるし、サウバーでの時間も満喫している。そして結果を出している。カナダなんて、私たちが正直そこまで期待していたサーキットではなかったけど、それでも両ドライバーでしっかりパフォーマンスを出せた。君が言ったように、2戦連続でポイント獲得できたのは大きい。Q: ガブリエル・ボルトレトとニコとの差はどのくらいですか?ウィートリー:トトのキミに対するコメントを聞いていて思ったけど、ポイントや表彰台といったマイルストーンは、ドライバーにとって本当に大きな自信につながるんだよ。何度もそういう場面を見てきた。ガビはもう本当に近い。彼の自信はどんどん高まっている。今日もまたクリーンな走行をしていたし、FP1を通してエンジニア陣にすごくいいフィードバックを返していた。彼は学んでい...