アウディは、今シーズン限りでWEC(FIA世界耐久選手権)から撤退することを発表。2017年からはフォーミュラEに専念するとした。アウディ AG 取締役会会長のルパート・シュタートラーは26日(水)、アウディのモータースポーツ部門で働く300名の従業員を前に、アウディが今後も競争力を維持し続けるため、課題に注力することが重要であることから、今回の戦略的決断が取締役会で下されたことを説明した。
アウディは今後もノイブルク及びネッカーズルムに在籍するモータースポーツ専門家たちのノウハウとスキルを、モータースポーツと生産モデルに活用していく。「将来を見据え、電気自動車によるレースに参戦することにしました」とルパート・シュタートラーは述べた。「アウディのラインアップにおいて、今後電気自動車の比率が次第に高くなっていきます。アウディの先進技術を代表するモータースポーツのレースカーは、その技術力を示すものでければなりません」電気自動車による最初のレースシリーズであるフォーミュラEは、2018年から完全なバッテリー駆動による電気自動車をラインアップに加えるアウディのブランド戦略に完璧にマッチしたものといえる。アウディは現在会社の歴史のなかで、もっとも大きな変革の時期にさしかかっている。FIAフォーミュラEへのワークスチームとしての参戦は、来年2017年から開始される予定。このレースは、未来に向けてもっとも大きな可能性を持ったレースシリーズと期待されている。そのためにアウディは、現行の2016/2017シーズンから、チームABTシェフラー アウディスポーツとのこれまでの協力関係を強化している。アウディのワークスチームとしてのフル参戦に向けて、現在技術開発にも積極的に参加している。アウディがFIA世界耐久選手権(WEC)から撤退することは、偉大な成功の時代の終焉を意味している。18年間にわたって、アウディはル・マン プロトタイプ レーシングで、積極的に耐久レースに参加してきた。その間アウディは、ル・マン24時間レースで13度の勝利を挙げるとともに、数々の技術的金字塔を打ち立てた。2001年にTFSIエンジンでの最初の勝利を挙げ、2006年にはTDIエンジンを搭載したレースカーでル・マン史上初の優勝。さらに2012年にはハイブリッドのパワートレインを用いたスポーツカーで最初の優勝を成し遂げた。今日まで参戦した185のレースにおいて、アウディのル・マン プロトタイプは、合計106回の優勝、80回のポールポジション、94回のファステストラップを記録している。ハイブリッドのドライブシステムを用いたAudi R18 e-tron quattroでは、2度にわたってFIA世界耐久選手権(WEC)のタイトルを獲得している。さらにアウディは、2000年から2008年にかけて9年連続で、その当時ル・マン プロトタイプによる世界でもっとも重要なレースシリーズであったアメリカン ル・マン シリーズ(ALMS)のタイトルを獲得し続けた。「18年間にわたってアウディに大きな成功をもたらしたプロトタイプレースを離れることは、もちろん非常に辛いことです」と、アウディ モータースポーツ責任者Dr. ヴォルフガング・ウルリッヒは語る。「Audi Sportチーム ヨーストは、文字通りWECを席巻し続けました。この偉大な成功を分かちあったチームメンバー、ラインホルド ヨーストと彼のチーム、ドライバー、そしてパートナー、スポンサーの皆様に、心から感謝の意を表明したいと思います。本当に素晴らしい時間を過ごすことができました。」アウディは、ル・マン プロトタイプ レースに参戦し続けたことで、ブランドのスローガンである「Vorsprung durch Technik」(技術による先進)を世界に示すとともに、市販モデルに役立つ数多くのノウハウを獲得した。一方で、DTMへの取り組みは、これまで通り継続される。2017年シーズンは、Audi RS 5 DTMの後継モデルで参戦する予定。アウディは、10月の中旬にマニュファクチャラー及びチームの2つの部門で勝利を確定した。2013年には、マイク・ロッケンフェラーが、DTMドライバーズチャンピオンのタイトルをアウディにもたらしている。FIA世界ラリークロス選手権(World RX)への参戦については、最終的な結論がまだ出ていない。現在行われている2016年シーズンでは、DTMのワークスドライバー、マティアス・エクストロームがAudi S1 EKS RX quattroをドライブし、並み居るワークスチームを抑え、見事にチャンピオンのタイトルを獲得した。今日までアウディとしての参画は、プライベートのEKSチームを支援するだけに留まっている。アウディは現在、この支援体制を継続するかについて検討中だが、ラリークロス レーシングについても、現在、電動化が主要な議題として上がっている。
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