アウディは、Part-Time Scientistsとともに月へと旅立つ。NASAのアポロ17号が月への最後の有人探査を成功させてからほぼ45年後、今回協力するパートナーが目的地に選んだのはそのアポロ17号が降り立った場所。ドイツのPart-Time Scientistsチームのエンジニア達は、このGoogle Lunar XPRIZEコンテストで無人の月面探査車を月に送り込むプロジェクトに取り組んでいる。
アウディは、quattroフルタイム四輪駆動や軽量構造、また電気モビリティや無人運転といった分野の数々の技術的ノウハウによりPart-Time Scientistsをサポートしている。アウディAGセールス&マーケティング担当取締役のルカ・デ・メオは、「私的な資金提供による月へのミッション、というコンセプトは魅力的です。そして革新的なアイディアは、これを推進してくれるサポーターを必要とします。私たちはPart-Time Scientistsへの関わりによって私たちの想いを発信し、他のパートナー達がそれぞれのノウハウによって貢献することを促進したいと思っています」と述べた。25日、ルカ・デ・メオはカンヌの国際イノベーションフォーラムである、カンヌ イノベーション デイズにおいてこのパートナーシップを発表した。アウディAG技術開発担当取締役のProf. Dr. ウルリッヒ。ハッケンベルクは、「私たちは、このプロジェクトに私たちの軽量構造、エレクトロニクスそしてロボット工学などのノウハウをもって貢献することができることを嬉しく思います」と述べた。賞金3,000万USドルのGoogle Lunar XPRIZEは、世界中のエンジニアや起業家達にロボットによる低コストな宇宙探索の方法を開発すべく、彼らの挑戦を誘い、奮起してもらうコンテスト。このGoogle Lunar XPRIZEに勝つためには、それぞれ私的に資金を調達したチームが月面にロボットを降り立たせた後、500メートル以上探索させて高解像度の画像ビデオを地球に送信しなければならない。アウディAGはその技術的ノウハウを、Google Lunar XPRIZEのコンテストに参加している唯一のドイツチームであるPart-Time Scientistsの月面探査車の最適化のために注ぎ込んでいる。この開発グループの月面探査車は、コンテストのこれまでの過程で既に、航空宇宙の専門家たちからなる審査員による2つのマイルストーン賞を獲得している。パートナーとしてアウディがチームをサポートするのはまず軽量構造とe-モビリティ、そしてquattroフルタイム四輪駆動と自動運転の分野における専門技術。さらに、試運転、トライアルや品質チェックなどにおいても幅広いサポートを行う。また、ミュンヘンにあるAudi Concept Design Studioではこの月面探査車を改良した「Audi lunar quattro」というバージョンを作成し、理想的な軽量構造の実現を図っている。月面探査車とAudi lunar quattroは、2017年に発射ロケットに乗って宇宙へ飛び立ち、380,000km以上の旅をして月へと到着する。これにかかる日数は約5日。目標着陸エリアは月の赤道より北側、1972年にNASAの最後の月への有人飛行となったアポロ17号の降り立った場所の近く。この場所での気温の寒暖差は最大で摂氏300度以上にもなる。Part-Time Scientistsチームは、オーストリア・アルプスやテネリフェ島といった様々な場所で行われてきたテスト走行を通して、大部分がアルミ製の月面探査車を開発してきた。可変式ソーラーパネルが太陽光を取り込んでリチウムイオンバッテリーを充電する。ここから4つの電気ホイールハブモーターに電力が送られる。車両のフロントヘッドには2つの立体カメラと、物質を詳細に観察するための科学カメラが取り付けられている。理論上の最高速度は時速3.6kmだが、険しい月面でより重要なのは車両のオフロード性能と、安全に走行ができる性能となる。「アウディという強力なパートナーを得て、私たちは技術とモビリティ性能において大きな飛躍をすることができます。これからの相互の関わりを楽しみにしており、有意義なパートナーシップとなることを期待しています」と、Part-Time Scientistsの発足人でありリーダーのロバート・ベーメは述べた。Part-Time Scientistsチームは、ベルリンのITコンサルタントとして働くロバート ベーメにより2008年後半に設立された。現在約35人いるエンジニアのうち大半はドイツとオーストリア出身。その他に3つの大陸からの専門家たちがチームをサポートしている。フロリダから参加する、NASAのトップクラスのメンバーだったジャック・クレンショーもその一人。チームのサポーターにはアウディ以外にも、NVIDIA、ベルリン工科大学、オーストリア・スペース・フォーラム(OeWF)、そしてドイツ航空宇宙センター(DLR)などの多くの研究所やハイテク技術の会社が名を連ねている。25以上のチームが参加してスタートしたGoogle Lunar XPRIZEは、ファイナルラウンドに来ている。Part-Time Scientistsチーム以外のコンテスト参加チームは、ブラジル、カナダ、チリ、ハンガリー、日本、イスラエル、イタリア、マレーシア、アメリカからの15チームとなる。
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