アストンマーティン・ホンダF1は、2026年シーズン序盤、極めて厳しいスタートを強いられている。中国GPではフェルナンド・アロンソが33周でリタイアし、振動問題が大きな注目を集めた。しかし、トラックサイド運用責任者マイク・クラックは、この振動問題がマシンの本質的な弱さの原因ではないと明言した。AMR26は仮に振動が解消されたとしても、依然として競争力を欠くマシンであることを認めている。
振動問題よりも深刻なパフォーマンス不足アストンマーティンの苦戦は振動だけに起因するものではない。トップ勢に対して1周あたり約3秒遅れている現状は、複数の技術的欠陥によるものだ。「部品が脱落したりといった問題は起きていない」この発言が示す通り、問題は単発的なトラブルではなく、マシン全体の設計レベルに及んでいる。中国GPで見えた“進歩”の本質中国GPでは、アストンマーティンはオーストラリアよりも多くの周回をこなすことに成功した。しかし、その改善は純粋なパフォーマンス向上にはつながっていない。マイク・クラックは次のように語った。「33周を連続で走れたのはこれまでになかったことで、新たな学びだ。スプリントでは19周走っており、その間には常にインターバルがあった」「10日前を振り返れば6周しか走れなかったが、特にバッテリーのような最も影響を受けやすい部分については解決策を見つけた」「中国では全セッションでマシンを走らせることができた。パフォーマンス面での進歩ではないが、改善はあった」“走ること”自体が最優先課題現在のアストンマーティンにとって最も重要なのは、競争力ではなく走行距離の確保である。クラックはその重要性を強調する。「中国が大きな進歩に見えないとしても、これほど多くの周回を走ったことはなかった」「エネルギーマネジメントは単独走行でも学べるが、他車と走ることでさらに多くのことが分かる。スプリントでは再スタート後の1周目で多くの発見があった」「なぜこの問題が今起きたのかを分析し、セットアップやレギュレーションの影響だと理解できれば次に活かせる」「走ることが重要だ。知識を蓄積することが重要だ。ガレージにいては何も分からない」振動は“問題の一部”に過ぎないバッテリーの絶縁強化により信頼性は一定程度改善されたが、問題は依然として残っている。実際、ランス・ストロールは9周目にバッテリー損傷でリタイアしている。さらに、振動そのものも完全には解消されておらず、ドライバーへの負担は依然として大きい。アロンソは身体への影響によりレース継続が不可能となった。それでもクラックは、この問題を過度に強調すべきではないとする。「アロンソはオーストラリアで、もし優勝争いをしていれば走り続けられたと言っていた。我々はその位置にいなかったので、リタイアは比較的容易な判断だった」AMR26が抱える本質的な課題今回の発言が示しているのは、アストンマーティンの問題が単なる振動や信頼性ではなく、マシンの根本的な競争力不足にあるという点だ。信頼性は徐々に改善されつつある一方で、パフォーマンス面では依然として大きな遅れを取っている。振動問題が解決されたとしても、それだけで戦闘力が劇的に向上するわけではないという現実が、チーム内部から明確に示された形となった。