アストンマーティンは、長年メルセデスに在籍していたF1デザイナーのダンカン・エリオットをチームに迎え入れた。エリオットは今週からシルバーストンに本拠を置く同チームで業務を開始している。アストンマーティンではチーフデザイナーとして起用され、ルカ・フルバット エンジニアリングディレクターの直属として働く。2026年の技術レギュレーション大刷新を前に、同チームの技術陣をさらに強化する動きの一環だ。
エリオットは2024年シーズン終盤にメルセデスを離脱後、ガーデニング休暇を経て、今週ついにアストンマーティンでの業務を開始した。メルセデス時代は14年にわたり在籍し、その大半を「コンポジットデザイン部門責任者」として過ごした。チームが2014年から2020年にかけてドライバーおよびコンストラクタータイトルを独占し、2021年にもコンストラクターズタイトルを獲得した栄光の時代を技術面から支えた人物だ。それ以前は、ホンダおよびブラウンGPにてKERS(運動エネルギー回生システム)の開発を監督するシニアエンジニアを務めるなど、長年にわたってF1最前線で設計業務に携わってきた。エリオットのプロフィールによると、「コンポジットデザイン、サスペンション設計、トランスミッション、プロジェクトマネジメント、シャシー設計、機械工学といった多分野に精通する、経験豊富なF1デザイナー兼マネージャー」と自己紹介している。アストンマーティンではすでに、エイドリアン・ニューウェイを技術経営パートナーとして迎え、元フェラーリのテクニカルディレクターであるエンリコ・カルディレや、ボブ・ベル(テクニカル部門のエグゼクティブディレクター)、エリック・ブランダン、マイク・クラックといった面々が技術チームに名を連ねている。こうした技術陣の増強について、同チームでエンジニアリングの指揮を執るアンディ・コーウェルは以下のように語っている。「それぞれの責任範囲が明確であることが重要だ。すでにシルバーストンには強力なエグゼクティブチームが存在しているし、そこに経験豊富な技術リーダーが加わっていく」「だが、そのすべての人材が『これはチームプレーなんだ』という意識を持っている。そして一人ひとりが異なる強みを持っている。それを最大限に活かし、うまく結びつけることが肝要だ」「例えば、シルバーストンのキャンパスで実験的に開発したアイデアをもとに、クルマを速くできると確信できれば、すぐに量産体制に移し、サーキットに迅速にパーツを届ける。それも高品質で、ぴったりと合致する状態で」「そしてマシンに搭載した際、すべての測定値が『確かに速くなる』と裏付けてくれる。もしトラック上のラップタイムに差異が生じたなら、それは品質や相関の問題なんだ」「エイドリアン(・ニューウェイ)もそれをよく理解している。彼は創造性において天才的であり、極めて競争心が強いが、組織全体の力が鍵になると知っている。それこそがローレンス(・ストロール)のビジョンに彼が惹かれた理由でもある」「我々はチームとして働く。互いに率直なフィードバックを与え合う。私自身もそうした姿勢を大切にしているし、『もっとよくなるために助けてほしい、もし愚かなことをしたと思ったら遠慮せず言ってくれ』という気持ちだ」「そうした率直で建設的なフィードバックこそが、我々を強くしていく。それぞれが持ち味を活かして、最終的には高パフォーマンスなチームと、非常に速いレーシングカーを実現することができると信じている」