ゼネラルモーターズは、F1参戦を望むアンドレッティ・グローバルと組んで同社のブランドであるキャデラックを使用して『アンドレッティ・キャデラック』として参入に協力することを発表した。マイケル・アンドレッティは、2021年にザウバーF1チームを買収してF1に参入しようとしたが、土壇場でザウバー・グループがチームの支配権を維持することを望んだため交渉は破綻した。
その後、マイケル・アンドレッティは、独自のF1チームを立ち上げて2024年のF1参戦を目指すことを宣言したが、F1界の反応は冷淡だった。F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリは、F1チームを増やすことは「最も重要な要素ではない」と語り、独立系F1チームの参入には否定的だった。F1チーム側も新しいチームが増えることで収益の取り分が減ることを懸念。また、メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、アンドレッティの参入には反対し、ビッグネームである自動車メーカーでない限り、新しいチームは必要ないとの意見を示した。そこで、マイケル・アンドレッティは、ゼネラルモーターズという米国の大手自動車メーカーを後ろ縦にすることで、F1エントリーの獲得に動いた。だが、F1チームは、アンドレッティ・キャデラックという自動車メーカーの名前が看板につくかもしれないが、ゼネラルモーターズ/キャデアラックは、2026年のF1レギュレーションにマニュファクチャラー登録しておらず、パワーユニットを製造するわけではない。おそらくルノーのパワーユニットにキャデラックのバッチを貼るだけになるだろる。F1が望んでいるのは、自動車メーカーのシャシーもしくはエンジンを製造する“マニュファクチャラー”としての参戦であり、ほぼタイトルスポンサーに近い形の今回のF1参戦計画は、本質的にはアンドレッティ・グローバルがシャシーを製造してルノーのF1エンジンを搭載するという当初の計画とそこまで大差はない。これはザウバーF1チームのネーミングスポンサーとして参入する現在のアルファロメオF1チームの形態に似ている。アルファロメオは技術的なコラボレーションを主張しているが、実際にはF1マシンとチームエキップメントのカラーリングを変え、チームスタッフとして数名を出向させているだけだ。アルファロメオのCEOであるジャン・フィリップ・インパラトは、ザウバーF1チームとのパートナーシップが「地球上で最高の投資収益率」を得たと考えていると語っている。ゼネラルモーターズは、よりF1チーム運営に踏み込むことになるかもしれないが、チームの株式の取得などについては言及させていない。最初はせいぜいアンドレッティ・キャデラックの取締役に人材を出向させるかたちでの関与となるだろう。しかし、これは将来的に変化する兆候がある。ゼネラルモーターズのマーク・ロイス社長は、このパートナーシップが「キャデラックのカラーリングを超える」ものだと主張する。ゼネラルモーターズは、近年、レースへの関心を高めてきた。インディカーやIMSAを通じてアメリカのレーシングシーンの主力となってきたが、新しいLMDh キャデラックを世界耐久選手権に投入するという決定は、さらに到達したいという同社の願望を示している。マーク・ロイスは、過去にF1への移行を検討することが「かなり困難」だったのにはさまざまな理由があると語った。バラク・オバマ政権下で、米国政府は GM を存続させるために救済措置を提供しなければならなかった。しかし、状況は変わり、2022年第 3 四半期の収益は 419 億ドルという新記録を打ち、グループの強さを示した。マーク・ロイスは、アンドレッティがゼネラルモーターズのすべてのレース施設に完全にアクセスできることを明確にした。「ゼネラルモーターズの膨大なエンジニアリング リソースは、このパートナーシップに実証済みの成功と貴重な貢献をもたらすだろう」とマーク・ロイスは述べた。「これには、ミシガン州、ウォーレン テック センター、ノースカロライナ州にある GM レーシングのスタッフと施設のすべての才能と能力、および燃焼、バッテリー技術、ターボチャージャー、車両統合などのエンジニアとデザイナーの専門知識が含まれる。リストはどんどん増えていく」マーク・ロイスが言ったように、アンドレッティとのゼネラルモーターズの計画は、F1チームをトップに導くことを目的とした技術的パートナーシップを通じて、さらに深くなるかもしれない。この発表の前は、アンドレッティをグリッドに追加するという見通しは、F1株主の心を躍らせるようなものではないように思われた。確かに、別のチームは、車が 2 台、ドライバーが 2 人増え、その結果、トラック上でのアクションが増えるという意味で、このスポーツに適している。しかし、F1にはハースF1チームというすでにオールアメリカのF1チームがあり、既存のメーカーと競争したとしても、新しいものは何ももたらされない。しかし、キャデラックを通じたゼネラルモーターズの存在は状況を変えるかもしれない。F1 は、世界最大の自動車メーカーが参加を熱望するシリーズになりたいと考えている。フェラーリ、メルセデス、ルノーが参戦し、ホンダは、レッドブルとの技術的関係を維持していた2021年末のソフトな撤退の後、完全にゲームに復帰しようとしている。アウディは 2026 年に登場しる。ポルシェはまだドアをノックしている。特にアメリカでの経済力とプレゼンスを備えたゼネラルオーターズを追加することは、F1 にとって良いことのように思える。キャデラックは、スピードやラグジュアリーをすぐに思い浮かべるタイプの自動車メーカーではないかもしれないが、ゼネラルオーターズがその認識を変えたいと考えていることは明らかだ。「我々がキャデラックをグローバルブランドに拡大するにつれて、長い間行ったことのない場所、または行ったことのない場所であるF1は、キャデラックとブランドの成長に向けた露出を提供します」とマーク・ロイスは述べた。 結局のところ、F1 はおそらく自動車メーカーにとって最高のマーケティング ツールだ。アンドレッティとキャデラックがこれを実現するにはまだ多くのハードルがあり、最大のものは F1 と 10 チームからのサポートだ。モハメド・ビン・スライエムが計画について熱意を示したかもしれないが、これはFIAが単独で下す決定ではない。前述したように、現時点での計画は、自動車メーカーのマニュファクチャラーの参戦ではなく、アンドレッティ・グローバルの当初の計画にマーケティングパート...
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