ルノーがアルピーヌF1チームをカスタマーエンジンチームに変えるという決定は、フランスの自動車メーカーのモータースポーツ事業とヴィリー・シャティヨンのエンジン工場に衝撃を与えた。この発表は、間もなくブルーノ・ファミンがアルピーヌチーム代表を退任するという経営陣の再編成が行われる中で公表され、従業員を狼狽させた。
多額の投資と有望な初期結果にもかかわらず、ルノーの2026年までのF1エンジンプロジェクトが突然中止されたことに、怒りと不信感が広がっている。フランスの日刊紙『レキップ』の取材に応じた労働組合代表のカリーヌ・デュブルックは、この動きを「背信行為」と表現した。ルノーのF1コンストラクターズタイトル12回獲得に重要な役割を果たしてきた工場は、今、先行き不透明な状況に直面している。「私たちは、このような事態が起こるとは予想もしていませんでした。背信行為であり、裏切りです」と、デュブルックはコメントした。「私たちはここで、12回もF1チャンピオンになれるエンジンを開発したのに、今はできないというのか? 彼らはテストベンチでの最初の試運転さえ待たなかった」F1エンジンプロジェクトの放棄の決定は、2026年のレギュレーション導入によりF1が新たな時代を迎えようとしている時期に行われた。より激しい競争と持続可能性の重視を約束するこの新しいルールは、ルノーが有力なパワーユニットメーカーとして再びその地位を確立する好機であった。しかし、フランスの自動車メーカーは別の道を選んだ。ルノーのエンジン部門を数年にわたって率いてきたブルーノ・ファミンは、この決断がもたらす人的な影響を認めている。「エンジン担当かどうかは関係ない」と、F1のポッドキャスト番組『Beyond the Grid』で彼は語った。「人間に関わることだ」ファミンは、250人もの従業員にプロジェクトの中止を伝えるという任務を「非常に難しい」と表現した。「エンジンやギアボックスなど、何であれプロジェクトに熱心に取り組んでいる人々は、何年も情熱を傾けてきたのに、もう続けられないと我々は言っている」「もちろん、特に2026プロジェクトが順調に進んでいた時期には、非常に難しいことだった」「人々から多くの投資を受け、最初の成果は良好だった。我々は非常に、つまり積極的な技術的選択肢を取ることを選択したが、最初の成果は、その選択が正しかったことを示していた」ルノーは現在、ライバルメーカーに優秀なエンジニア集団を失うだけでなく、貴重な知的財産が流出してしまうリスクにも直面している。ファミンは、彼らをヴィリーに留まらせて他のプロジェクトに取り組んでもらうよう説得できることを期待している。「それは大きな課題となるかもしれない」とファミンは認めた。「もちろん、知的財産も一つの要素だが、真の資産は人材だ。人材、彼らのスキル。真の資産は人材、スタッフだ」「もちろん、彼らには仕事が約束されているが、情熱を持って働く人々にとっては、それだけでは十分ではない」「ヴィリーでは、F1だけでなく、モータースポーツのすべてのプログラムも行っている」「アルピーヌのプログラム、ソフトウェアの開発、システム、プロジェクト全体がヴィリーでモニターされている」「フォーミュラEでも、日産とマクラーレンがフォーミュラEで使用しているフォーミュラE用FIAメーカーを開発した」「F1が活動の大半を占めているのはもちろんだが、活動は数多くある。そして今、人々のスキルを最大限に活用し、彼らが残ってくれることを望むのであれば、よりハイレベルなエンジニアリングの側面で新たな活動を生み出さなければならない」