アルファタウリ・ホンダF1のチーム代表を務めるフランツ・トストは、親会社にレッドブルがついているとは言え、無限に資金を投入してもらえるわけではないと語り、レースを再開することの必要性を訴えた。新型コロナウイルスの世界的な大流行により、2020年のF1世界選手権は10戦の延期・中止が決定。本来ならば、この時期にはすでに6戦を消化しているはずだったが、レースは開催されておらず、賞金としてチームに分配される重要な収益をあげることができていない。
アルファタウリ・ホンダF1は、リバティ・メディアから分配金を前借りしている5チームの1つだと報じられており、チーム存続が危惧されている。フランツ・トストは、F1が約15レースを開催する方法を見つけることができれば、アルファタウリ・ホンダF1として財政面で「ほぼすべてのバランスを取ることができる」と考えている。現状では、F1は7月3〜5日にオーストリアでレースにが開催される予定だが、開幕戦のためにすべてのF1マシンがオーストラリアに到着してからほぼ4か月後となる。それは前例のないギャップだ。F1チームがマシンをファクトリーに1か月以上置いたままにすることは決してなく、F1ドライバーはマシンからこれほど長い時間離れていることに慣れていないため、チームとドライバーの両方が少し錆びついている可能性がある。「新しいシーズンの開始前に操業を再開することは大きな挑戦だ」とフランツ・トストは Formula1.com に語った。「最初のマシンを組み立てたときのようにマシンを完全に分解してから再び組み立てたいと思っていた。その後、ピットストップトレーニングを行う必要がある。また、ドライバーが長い間マシンに座っていなかったため、彼らのことも心配している」したがって、ドライバーとチームが錆を落とし、元のリズムを取り戻すためにF1オーストリアGPの金曜フリー走行は非常に忙しい初日になることが予想でき、信頼性が重要となってくる。「マシンに信頼性があり、走行してまったく問題が出ないことが非常に重要だ。可能な限り多くの周回数を走りこまなければならないからね」とフランツ・トストは語る。「すべてのチームがその戦略をとると思っている。オーストラリアの金曜日のFP1で、多くのマシンがコースを走るのを目にすることになるだろう。より良い路面と多くのグリップを得るためにピットレーンで人々が待つようなことにはならないだろう。すべてのドライバーが、スピード、ブレーキ、コーナーへの進入などの感覚を取り戻すために出ていくはずだ」現在、すべてのF1ファクトリーは数週間にわたって閉鎖されている。つまり、マシン開発は行われていない。F1チームがレースで予想できるレースの総数は依然として不確実であり、戦略を計画することは困難な状況となっている。そして、次世代のF1マシンが導入される2020年のプロジェクトと現マシンの開発とのバランスを取るという追加の課題もある。「我々はマシンにいくつかのアップグレードを投入できることを望んでいるが、まず何よりも我々がレースができるのかどうか知りたい」とフランツ・トストは語る。「私はアップグレードを開始したが、レースはないという状況は避けたい。財政的に可能な限りお金を節約しなければならないからね」「来年についても非常に心配している。レギュレーションが変更されないため、今年のマシンをほぼ2021年に引き継ぐことができるが、2021年には2022年にむけて完全に新しいマシンを設計して製造する必要がある。財政的にそれをどのように管理できるのかはまだわからない」「このような大規模なプロジェクトを構築するには、多額の費用がかかる。だが、様子を見てみるつもりだ。2023年に延期することで決定されていたが、FOMとFIAはそれに反対することを決定したので、今はそれを最大限に生かさなければならない」2021年には1億4,500万ドルという修正された予算上限も合意される予定となっている。フランツ・トストはこの数字を受け入れているが、特に新型コロナウイルスによって引き起こされる経済的課題を考えると、願望としてはより引き下げられることを期待していた。「私にとって、その数字はまだ多すぎる」とフランツ・トストは語る。「我々はずっとより少ない数字を求めてきた。純粋に我々は世界的な経済危機に直面しているという理由でね。我々が回復するまでには3~4年はかかると思っている」「スポンサーを見つけるのは難しい。1億4500万ドルの上限はあるものの、アルファタウリに関しては、上限外のコストのためにさらにあと4000万ドルほど追加する必要があるため、1億850ドル程度の予算について話し合っていることになる」「この金額を集めるためのは大きなチャレンジだ。今年はそれほど多くのレースが開催されなければ、来年はFOMからそれほど多くのお金を得ることができない。いじれにせよ、これは決定したことだ」アルファタウリはレッドブルが支援するチームであり、同社の若手ドライバーを起用しているが、それによって無限にレッドブルから資金提供を受けるれることを意味しているわけではない。「我々には事業計画があり、もちろん一定の金額をレッドブルから受け取っているが、それらの数値の範囲内に留める必要がある」とフランツ・トストは語る。「より多くのお金を求めればいいというわけではない。他のどこでもそうであるように、我々使いすぎない方法を見つけなければならない」