フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)はF1マイアミGPで、マシンの振動問題について「改善は見られる」と認めつつも、依然として満足できるレベルには達していない可能性を示唆した。ホンダ側が進展を強調する中で、現場のドライバーとの認識の差が浮き彫りとなっている。2026年F1第4戦マイアミGPは現地時間5月2日(土)、スプリントレースと予選を実施。アストンマーティン・ホンダは厳しい暑さの中でスプリントを完走し、高温環境下におけるパワーユニットの機能と信頼性を確認した。
一方で予選は18位、19位にとどまり、競争力不足が改めて浮き彫りとなっている。アロンソ「非常にひどい」 強い違和感を訴えた金曜金曜日のプラクティスでアロンソは振動の状態を問われ、「とてもひどい」と即答した。コックピット内では手を何度も触る仕草を見せ、ステアリングを通じた不快感が残っている様子を強く示していた。現場の体感としては、依然として無視できないレベルにあることがうかがえる。ホンダは改善強調「データ通り機能」一方でホンダは、対策の効果を強調する。ホンダF1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は次のように語った。「今日もスムーズにセッションを重ねられた一日になりました。非常に暑いコンディションの中ではありましたが、スプリントレースを最後まで走り切り、高温環境下においてPUがどのように機能するか、信頼性も含めて確認できたことはポジティブでした」「午後の予選でキャデラックより前のグリッドを確保できたことも、小さな一歩だと捉えています。もちろん、18位、19位という結果は我々が目指すポジションではなく、さらなるパフォーマンスの向上が必要であることは十分認識しています」また振動対策についても、開発側としては狙い通りの効果を確認していると説明している。「我々は振動に対抗するためのいくつかの対策を開発しました」「それらの対策はバッテリーだけでなく、ドライバーの快適性やハンドリングにも影響しています」「データの予測通りに機能していることを確認しており、ドライバーからもポジティブなフィードバックを得ています」土曜には「改善」も 完全解決ではない現実その評価に対し、アロンソ自身も土曜日には一定の前進を認めている。「振動は改善されていた。だからマシンや体に問題なくレースを最後まで走り切ることができた。そこは一歩前進だと思う」ただし、その一方で現状の限界も明確にした。「ただ、競争力のレベルはまだ低いままだ」振動対策によって“走れる状態”には達したものの、“戦える状態”には至っていないというのが現状だ。ストロールも同様の認識「改善はそれだけ」チームメイトのランス・ストロールも同様の見解を示している。「特に変わっていない。日本GP以降で振動は少し改善されたが、それだけだ」「それ以外に得られたものはあまりない」ドライバー2人の証言は一致しており、振動の改善は確認されつつも、それが全体の競争力向上には直結していないことを示している。なぜ評価は食い違うのか データと体感の差この状況が示すのは、振動問題に対する評価基準の違いだ。開発側にとっては、データ上の振動低減や予測との一致が「改善」を意味する。一方でドライバーにとっては、ステアリングから伝わる感覚や長時間走行での負担といった“体感”が基準となる。その結果、「改善している」という開発側の評価と、「まだ不十分」という現場の感覚が同時に成立する構図となっている。残る課題 本質はパフォーマンス不足さらにアロンソは、チームの開発が信頼性対策に集中している現状にも言及している。「僕たちはまだ他チームに大きく遅れているし、彼らは日本以降にマシンを改善している。一方で僕たちは信頼性にしか取り組んでいない」振動対策によって最低限の走行安定性は確保されたものの、パフォーマンス開発の遅れが競争力の差として表れている。ストロールも長期視点を強調 プロジェクトへの信念ランス・ストロールも現状の苦戦を認めつつ、長期的な成功を見据えている。「僕はこのプロジェクトを今も信じているし、本来のポテンシャルにはまだ遠い」「もし2〜3年後に自宅のソファに座って、アストンマーティンがグリッドの前方で走っているのを見たとき、自分がそこにいなければ悔しいと思うはずだ」「その一部でありたいし、そのときにはもっと運転して楽しいクルマになっていてほしい」短期的な結果よりも、2026年以降の競争力確立を見据えた姿勢がうかがえる。アロンソの去就にも影響 息子との時間軸一方でフェルナンド・アロンソは、自身のキャリア継続についても私生活の変化が影響していると明かした。「彼が僕のレースを見ている姿を見るまではやめたくない。でも、状況を理解できるようになるまでにはあと数年かかるかもしれない」「あと数年レースを続けたとして、彼がそれを覚えているのか、パドックで何が起きているのか理解できるのかを考えている」「パドックに来て、僕のクルマに乗ったりできるようになるまでは引退したくない。それは一生の思い出になる瞬間になるはずだ」振動問題という技術的課題と並行して、キャリア終盤に差し掛かるアロンソの判断にも新たな軸が加わっている。