2019年の最終戦F1アブダビGPの決勝レースでは、サーバーがダウンしたことでDRSが19周目まで使えないという問題が発生した。DRS(ドラッグ・リダクション・システム)は、リアウイングのフラップを開いてドラッグを低減させオーバーテイクを促進させることを目的に導入された可変リアウイング。2013年の導入以来、オーバーテイク補助デバイスはリアルなレースを損なうと批判もあった。
しかし、抜きにくいヤス・マリーナ・サーキットでは、DRSによるオーバーテイクの効果が浮き彫りになることになった。特に表彰台を争っていたバルテリ・ボッタス、セバスチャン・ベッテル、アレクサンダー・アルボンは、数周にわたってまだタイヤ交換していないニコ・ヒュルケンベルグに引っかかり、上位との差を広げられる結果となった。DRSが使えなかった件について質問されたダニエル・リカルドは「レースがさらに退屈になっちってしまったね。一部のトラックにはDRSは絶対に必要だ」と語った。F1レースディレクターのマイケル・マシは、データサーバーがダウンしたことでDRSを使用不可にしたと説明した。「タイミングは問題なく機能していたが、サーバーがクラッシュしたため、直ちに使用不可とした」とマイケル・マシは説明。「バックアップが完了するだけでなく、バックアップが動作して正確なデータが利用できると100%確認できるまで待った」 「FIAとF1グループが協力して様々なチェックを実施し、全てが問題なく動作ことを確認する必要があった。その確信が持てるまではリスクを冒すつもりはなかった」「有効な安全策は全体に使用を禁じることだった。確実にバックアップができ、コンディションが安定し、データのやりとりがきちんと正確にできていることを確認した。満足できる状態になってから改めてDRSを許可した」