角田裕毅(レッドブル・レーシング)は2026年のシートをめぐり、キャリア最大の分岐点を迎えている。新チーム代表ローラン・メキースは、角田に対して「チームに残す理由を示してほしい」と“懇願に近い”心境だと報じられている。メキースは今季序盤に指揮を執って以降、マシン開発と体制の立て直しを進め、マックス・フェルスタッペンは直近4戦で3勝を挙げるまでに復調。チームはコンストラクターズ選手権でフェラーリ、メルセデスと2位争いを繰り広げている。
一方で角田裕毅は、昇格後17戦で25ポイントにとどまり、苦戦が続く。バクーで6位、アメリカGPでは7位と復調の兆しを見せたものの、依然として厳しい立場にある。メキース「角田に“残す理由”を示してほしい」レッドブルのローラン・メキースは、角田裕毅に今後のチャンスを与えたい考えだが、そのためにはさらなる結果が必要だと考えている。英記者ネイト・ソーンダースは「メキースはほとんど懇願するように、角田にチームに残す理由を示してほしいと思っている」と語る。「昨年のペレスのケースと似ている。チームは『我々が彼を残す理由はこれだ』と言える結果を求めている」とソーンダースは述べた。さらに、ヘルムート・マルコは「角田の去就はメキシコGP後に決める」と発言しており、次戦でのパフォーマンスが運命を左右する可能性が高い。ただし、状況によっては決定が先延ばしになる可能性もあると見られている。「もし角田がメキシコで好成績を収めれば、レッドブルは『あと数戦様子を見よう』と判断するかもしれない」とソーンダースは続けた。フェルスタッペン支援の役割も課せられる角田チーム代表のメキースは、フェルスタッペンのタイトル争いを支えるため、角田裕毅を“サポートドライバー”として活用する方針を明かしている。COTA(アメリカGP)では、角田のマシンに異なるセットアップを試すことで、フェルスタッペンの最適解を探るテストを実施した。オランダの記者ロナルド・フォルディングはこう報じている。「彼らは今後も角田をテスト要員的に使うつもりだ。マックスのために異なるセットアップを試し、その結果をタイトル争いに活かす。一方でコンストラクターズ選手権のポイントも必要だから、角田の得点も重要だ」レッドブルは現在、フェラーリ(334点)とメルセデス(341点)を僅差で追う331点の4位。わずか10ポイント差の中で争う熾烈な2位争いの中、角田の役割は極めて戦略的なものとなっている。ハジャー昇格とローソンの存在が重圧に2026年にはルーキーのアイザック・ハジャーがレッドブルに加入するとみられており、角田裕毅はシートを失うリスクが高い。レーシングブルズへの復帰案もあるが、オースティンでの接触以来、リアム・ローソンとの関係が悪化しており、現時点では再共演の可能性は低い。また、チームは将来のためにF2のアービッド・リンドブラッドにも注目しており、角田裕毅にとっては三つ巴の生き残り戦となっている。角田裕毅に残された“唯一のカード”は結果アメリカGPでは7位入賞を果たし、内容的にも改善が見られた。だが、予選でのワンラップペース不足という課題は依然として解決していない。チームが求めているのは「安定したQ3進出と2台完走によるポイント獲得」であり、フェルスタッペン支援と並行して自身の存在感を示す必要がある。メキースの「理由を示してほしい」という言葉は、単なる叱咤ではない。角田裕毅がメキシコで再びポイントを獲得すれば、残留交渉にわずかな光が見える。だが、結果を出せなければ、ハジャー昇格の決定は現実味を帯びてくる。角田裕毅に残された時間は、わずか数戦。真価を問われる戦いが、メキシコで始まる。
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