角田裕毅は、レッドブル・レーシングで自身の競争力を高めるために行ってきた舞台裏での取り組みを明かした。今季の将来を巡る憶測が続く中、アゼルバイジャンGPが重要な転機となったという。アゼルバイジャンでは予選6番手からスタートし、ランド・ノリス、シャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトンらと戦いながらそのまま6位でフィニッシュ。マクラーレンやフェラーリ勢を上回る走りを見せ、これまでのラウンドと比べて大幅にパフォーマンスを向上させた。
角田裕毅はシンガポールGPを前にメディアに対し、ヘルムート・マルコら上層部と直接話してはいないとしながらも、課題は明確だと語った。「バクーのあと、ヘルムートやレッドブルの誰とも話してないですけど、自分の目標は明確です。何をしなければならないかもはっきりしています」「それを1回のレースで示せたと思います。P6といういい結果も出せました」「シーズン後半に入ってからは、Q3進出も増えていますし、ポイントも取れています。いい方向に進んでいると思います。前半戦と比べて、自分が成長できていることを示せているはずです」レーシングブルズ時代のセッティングに原点回帰角田裕毅は近年の改善が、チーム代表ローラン・メキースとの再タッグによるものだと説明した。メキースとはレーシングブルズ時代に共に働いており、その経験がレッドブルでのセッティング選択にも影響を与えているという。「ローランにはいろんなことで助けてもらってます。2レース前に試したセッティングなんかは、レーシングブルズ時代にほとんどのレースで使っていたものでした」「以前はそれが当たり前だと思っていて、忘れていた部分もありました。でもレッドブルに来たら、チームのやり方が違っていて、クルマのセットアップも全然違っていたんです」メキースはエンジニア陣に、角田裕毅がどのようにマシンを操り、どんな方向でパフォーマンスを引き出していたかを説明したという。「ローランがエンジニアに『裕毅は特定のコーナーでこういう走らせ方をしていた』って伝えてくれたんです。それをレッドブルのマシンで試したら、ちゃんと効果がありました。昔の感覚を取り戻せた感じです」「ローランのアイデアがなければ、自分では思いつかなかったと思います。すごく感謝しています。関係性の面でもずっと良好ですし、レーシングブルズのときと全く同じです。チームロゴが違うだけで、話している感覚はまったく変わりません」シンガポールでは12位とポイントを逃したが、角田裕毅は依然としてシーズン最高のレースのひとつだったと振り返り、バクー以降の流れが確実に実を結びつつあると自信を見せた。角田裕毅の「再起動」を支えるメキースの存在角田裕毅が示した「原点回帰」の姿勢は、単なるセッティング変更ではなく、ドライビングの“感覚”を取り戻す作業でもある。レーシングブルズ時代に培ったスタイルをメキースが理解していることが、今のレッドブル体制でも大きな武器になっている。アゼルバイジャンでの6位は、角田にとって単なる結果以上の意味を持つ。上位勢との真っ向勝負の中で自らの適応力と技術を再確認できたことが大きい。メキースのサポートのもとで「自分らしさ」を再構築したことで、以降の週末でも安定してQ3進出を果たしている。シンガポールでの結果は一時的な後退に過ぎず、今後のグランプリでは再び上位争いに食い込む可能性が高い。レッドブルの中で自身の居場所を確立するためにも、この“メキース流再生プラン”は鍵となりそうだ。Source: motorsportweek.com