レーシングブルズのCEOであるピーター・バイエルは、角田裕毅の後任として噂されるアイザック・ハジャーのレッドブル昇格について「手錠で繋いでおく」と冗談を交えて否定した。シーズン中の昇格を封じ、2025年はレーシングブルズで経験を積ませる方針を強調した。フランスとアルジェリアにルーツを持つアイザック・ハジャーは、F1ルーキーイヤーで輝かしい前半戦を過ごしている。
開幕戦での痛恨の単独ミスを乗り越え、ここまで22ポイントを獲得し、サマーブレイク時点でドライバーズ選手権13位につけている。ハジャーはルーキー勢の中で2番手の成績を残しており、上回るのはメルセデスというトップチームに所属するキミ・アントネッリだけだ。パリ出身の若きフランス人ドライバーは、今年の「最優秀新人」として評価される存在に躍り出ており、辛口で知られるヘルムート・マルコでさえ「間違いなくハジャーが最も印象的なルーキーだ」と認めている。そのためハジャーの名はすぐさまレッドブル昇格と結びつけられることになったが、レーシングブルズCEOピーター・バイエルは独Bild紙に「彼には2026年末までにビジネス全体を理解してもらう必要がある。それまでは手錠でつないでおくしかないね」と冗談交じりに語った。しかし、角田裕毅がレッドブルで苦戦を強いられていることから、ハジャーが早期に昇格し2026年の布陣を見据えた評価を行うのでは、という噂がパドックで囁かれてきた。だが、バイエルはこの可能性をきっぱりと否定している。「正直に言えば、あれは冗談だったんだ」とバイエルはPlanetF1.comに語った。「我々はチーム内で強い合意をしている。今年は落ち着いて進め、全員が自分の仕事に集中すべきだとね。サマーブレイク後には2026年の話し合いが始まるだろうが、2025年については静かにやりたい。アイザックには成長し、学ぶ機会を与える。それが我々の方針だ。彼は本当に素晴らしいよ」バイエルはオーストリアGP予選での出来事を振り返り、その才能をこう説明した。「無線で彼の走行を聞いていたら、エンジニアのピエール・アムランが『ターン6で0.05秒ほど失っている』と伝えた。するとアイザックは『もっと正確に言ってもらえる?』と返したんだ。エンジニアが『0.035秒失っている』と答えると、彼は『OK、じゃあ分かった』と。そして次の周で修正したんだ」ハジャーはオーストラリアGPのフォーメーションラップで単独クラッシュを喫するという苦いスタートを切ったが、その後は安定してポイントを獲得する存在へと成長した。チーム内部からも「自信とF1への適応力が明らかに増した」との声が上がっている。「彼の能力は本当にシンプルに運転技術にある」とバイエルは語る。「きっと彼は大きなことを成し遂げると思う。彼の頭は常に働き、問い、成長している。アイザックは素晴らしい若者だ。だからこそ今年は我々と過ごす必要があるし、それが最善だと全員が一致している」リアム・ローソンと角田裕毅の状況もう一台のレーシングブルズを駆るリアム・ローソンもシーズン中盤で勢いを取り戻し、ここまで20ポイントを獲得。第2戦までレッドブルで走った後にファエンツァのチームへ戻されたが、経験不足の中で徐々に適応し、オーストリアGPでは6位入賞を果たした。ローソンは「自信は失っていなかった」と語り、バイエルも「不運が続いただけだ」と評価している。一方、レッドブルに昇格した角田裕毅は、9位1回と10位2回が今季のベストリザルトで、成績は2人のレーシングブルズ勢を下回る。バイエルは「彼の潜在能力や準備は知っているが、レッドブルのマシンは非常に難しく、我々のクルマのように寛容ではない」と説明し、適応に時間が必要だと語った。アービッド・リンドブラッドの将来次なる焦点はアービッド・リンドブラッドの昇格だ。イタリアで旧型車テスト(TPC)を経験し、高い評価を得たが、バイエルは「彼をどうするかはまだ先の話。今年はまず手元の3人に集中する」と強調した。「今は彼らを“手錠でつないで”シーズンを戦い抜くことに集中する。そして年末に、我々がどこにいるのかを見極め、次に何が可能かを考える」
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