角田裕毅が語った「マックス・フェルスタッペンとの差が縮まってきている」という主張に対し、元F1ドライバーのクリスチャン・アルバースが的確な反論を展開した。「興味深いのは、マシンが悪いときだけその差が縮まるということだ。マシンが良くなれば、再び大きく広がる」とアルバースは語り、ハンガリーGP週末を通じてフェルスタッペンが非常に不快な状況に置かれていたことを指摘した。
「オンボード映像を見れば一目瞭然だ。コーナー中盤でのアンダーステアがひどくて、マックスがどれだけ苦しんでいたか分かる。ああいうマシンは彼の好みじゃない」このような苦戦にもかかわらず、フェルスタッペンは2026年のレッドブル残留を明言。だが、オランダ国内のF1関係者やメディアはチームの現状に対し厳しい視線を送っている。フェルスタッペンはメルセデスとの交渉を経て最終的にレッドブルへの忠誠を再確認したが、ハンガリーGPでのパフォーマンスは、レッドブルの今後に対する懸念をさらに強めるものとなった。RB21はハンガロリンクの狭くテクニカルなレイアウトに苦しみ、戦闘力不足が露呈した。元レッドブルF1ドライバーのロバート・ドーンボスはZiggo Sportでこう語った。「無線で“もううんざりだ”というのが伝わってきた。『痛ましい』という言葉がすべてを物語っていた。だからエンジニアも一瞬、沈黙したんだろう」さらに、フェルスタッペンがルイス・ハミルトンに仕掛けた大胆なオーバーテイクについても、ドーンボスはフラストレーションの表れだったと分析する。「彼はやりすぎだった。リスクを恐れず限界で走っていた。マシンにスピードがない中で、できることをすべてやっていたんだ」「角田裕毅との差が縮まるのはマシンが悪い時」とアルバースF1ワールドチャンピオンであるジャック・ヴィルヌーヴも、イタリアの『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙で、レッドブル内部の混乱がパフォーマンスに影響を与えていると語っている。「チーム内で権力闘争があり、ヘルムート・マルコとヨス・フェルスタッペンがクリスチャン・ホーナーに勝った形だ。しかし、その過程でチームは確実に弱体化した」ドーンボスも同様に、問題は一過性ではないと警告する。「今週末はスプリントじゃなかったから3時間のフルプラクティスがあった。それなのにバランスが見つからないというのは深刻だ。“一度限り”というマルコの見解には同意しかねる」「マルコはいつだって“グラスは半分満たされている”って考え方だからね」夏休み明けの初戦はフェルスタッペンの母国GPであるザントフォールト。オランダのF1実況者オラフ・モルは、次戦についても悲観的な予測を立てている。「地元ファンを怒らせたいわけじゃないが、ハンガリーと同じような展開になると思っている」一方で、ドーンボスはわずかながらも希望を持つ。「ザントフォールトはオールドスクールで高速コーナーが多い。そういうサーキットでは、最終的にドライバーの力が物を言う場面もある」それでもなお、彼はフェルスタッペンが良い気分で夏休みに入れたとは言い難いと語った。「この状態じゃ、いい気分で夏休みに入るなんて無理だ」