角田裕毅がF1エミリア・ロマーニャGP後、SNS上で激しい人種差別的中傷の標的となった。Instagramには「目を開けろ」「もう一発爆弾を落としてやる」といったアジア人差別や日本を侮辱する投稿が相次ぎ、コメント欄が荒らされる事態に発展。この記事では、実際にどのような表現が書き込まれたのか、その差別の実態を詳しく検証する。
2025年F1エミリア・ロマーニャGPの週末、レッドブルF1の角田裕毅が一部ファンによるSNS上の人種差別的中傷の標的となった。問題は、金曜フリー走行1回目でのフランコ・コラピント(アルピーヌ)との接触未遂をきっかけに拡大。角田裕毅がアタックラップ中にコラピントに進路を妨害されたことに激昂し、抗議のジェスチャーを見せた場面が注目を集めた。この出来事に対し、主にコラピントの出身国アルゼンチンの一部ファンが、角田のInstagram(@yukitsunoda0511)の過去投稿に殺到。コメント欄には数千件に及ぶ中傷が殺到し、その多くが人種差別的な内容を含んでいた。Instagramに書き込まれた差別的表現の実態実際に確認されたコメントの中には、アジア人差別や文化的侮辱を含むものが多数あった。スペイン語で書き込まれた投稿には、以下のような表現が含まれていた:「Chino de mierda(クソ中国人)」:角田裕毅が日本人であるにもかかわらず、アジア系への侮蔑語として“chino”と誤って呼ばれた。「Abrí los ojos(目を開けろ)」:アジア人の外見的特徴を揶揄する典型的な差別表現。「Pokémon」「Pikachu」:日本文化に絡めたからかいの文言が差別的意図で使われた。「Te vamos a meter otro bombazo(もう一発爆弾を落としてやる)」:原爆を暗示する極めて悪質な脅迫的表現。「Mogólico」「Puto」:障がい者や同性愛者に対する侮蔑語。人種差別とともにヘイトスピーチの要素も強い。コメントは主に、5月9日投稿の「More Miami fun bits」や、5月18日投稿の「pit lane to P10, good recovery...」といった投稿に集中。特に前者は通常の数倍の6,000件超のコメントがつき、Instagramが“荒らされた状態”となった。F1界とファンの反応、そして今後この事態に対し、F1関係者も声を上げている。FIA会長モハメド・ビン・スライエムは「情熱が憎しみに変わってはならない」と明確に非難し、オンライン虐待防止に取り組む姿勢を表明。アルピーヌF1も「いかなる嫌がらせも容認しない」との声明を出した。角田本人は「これは自分だけの問題ではない。他のドライバーにも起きていること。不必要で不愉快だ」とメディアに語り、ファンの節度ある応援を求めた。一方で、Instagram上には「#RespectYuki」などのハッシュタグをつけて角田を擁護する投稿も増加。多くの良識あるファンが差別的コメントに反論し、角田への応援メッセージを送る動きも広がった。SNSという場で繰り広げられた今回の差別的誹謗中傷は、F1が直面する深刻な課題を浮き彫りにした。F1の多様性推進が叫ばれる中、こうした言動にどう向き合うかが今後問われる。