2016年 WRC 第11戦ラリー・スペインが、10月13日〜16日にバルセロナ南のリゾート、サロウを中心に開催された。フォルクスワーゲン・モータースポーツのセバスチャン・オジェは、金曜日に首位に立つと、その後は危なげない走りでこのイベントを制して、今季5勝目をマークするとともに、4年連続4 度目のWRCタイトルを手中に収めた。
アンドレアス・ミケルセンは、セバスチャン・オジェの4連覇を阻むタイトル獲得のチャンスがあったものの、リタイアを喫してそのチャンスを失った。ヤリ-マティ・ラトバラは、アクシデント後も競技を続けて14位で完走した。ポロ R WRCは、今回のラリーで節目となるWRC通算50戦目を迎えた。同時に、セバスチャン・オジェが3位以内でフィニッシュし、パワーステージ(最終スペシャルステージ。トップ 3にはボーナスポイントが与えられる)で1ポイントを獲得すれば4連覇が決定。フォルクスワーゲン・モータースポーツは、ヒュンダイよりも20ポイント以上の得点を積み重ねれば、マニュファクチャラーズ・タイトルも決定する。「ラリー・スペイン」は、今季唯一のミックス・サーフェス(舗装路と非舗装路の混在)ラリーであり、チームは双方の路面に対応しなければならない。木曜夕刻の第1スペシャルステージ(SS:競技区間)は、モンジュイクの丘で開催される。金曜日は2カ所のSSがミックス・サーフェス、それ以外はグラベル(非舗装路)。土曜と日曜はオール・ターマック(舗装路)。ラリー総走行距離は1,430.58km、19カ所のSS距離は 340.32km。SS1は、時折大雨が降るコンディションだったが、熱心なファンが3.2kmのルート脇に詰めかけ、「ラリー・スペイン」特有の喧噪に包まれた。セバスチャン・オジェが3位、アンドレアス・ミケルセンが8位、ヤリ-マティ・ラトバラが15位で翌日からの本格的な戦いに挑む。金曜日のデイ1も雨。ルートは泥濘路と化し、非常に滑りやすい状況になった。セバスチャン・オジェとアンドレアス・ミケルセンは着実に走行、地元開催に奮起する首位ダニ・ソルド(ヒュンダイ)とそれぞれ17.0秒、35.1秒差の2位、3位でグラベル区間を終えた。一方、ヤリ-マティ・ラトバラは3番手走行中のSS5でラインを外し、サスペンションにダメージを受けた。同選手は、ラリー2 ルール(未完走のSSをペナルティタイムに換算し、翌日以降の競技復帰を認めるルール)により、翌日も出走する。オール・ターマックのデイ2、セバスチャン・オジェは、ダニ・ソルドを逆転、5.8秒差ながら首位に立った。セバスチャン・オジェのライバル、アンドレアス・ミケルセンは、SS12の右コーナーでバリアにヒットして横転、修復不能なダメージを負ってしまった。アンドレアス・ミケルセンのタイトル獲得の可能性が消滅する一方で、セバスチャン・オジェは明日のパワーステージで1ポイントを獲れば 4年連続のタイトルが決定することになった。セバスチャン・オジェは最終デイ も気を緩めることなく、2位以下との差を15秒6に拡げてフィニッシュランプに登壇した。最終パワーステージでも、ヤリ-マティ・ラトバラに次ぐ2位を獲得してタイトルを決めた。なお、ポロ R WRC はこれまで50回のパワーステージに挑み、うち39回を制したことになる。第12戦の「ウェールズ・ラリーGB」は、10月27日〜30日にディーサイドを中心に開催される。スヴェン スミーツ (フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター)「4 度目のタイトル獲得、しかもそれを勝利で飾るとは!セバスチャンだけでなく、フォルクスワーゲン・チームにとっても素晴らしい日です。次戦のラリーGB には、マニュファクチャラー部門4連覇がかかっています」セバスチャン・オジェ(優勝:2016 年タイトル確定)「今の気持ちをどう表現すれば良いのかわかりません。とにかく素晴らしい気分です、フォルクスワーゲン・チームの献身的なサポートがなければタイトル獲得は不可能でした。改めて感謝しています」ヤリ-マティ・ラトバラ (14位)「セバスチャン、おめでとう!フォルクスワーゲン・モータースポーツの努力の賜物です。マニュファクチャラーズ・タイトルも確定させたいですね。」アンドレアス・ミケルセン (リタイア)「セバスチャン、おめでとう!今後の僕の目標は、ランキング2位を確定させることです。残り2戦もベストを尽くします。」