ウィリアムズF1の代表ジェームス・ボウルズは、「困難な環境」に身を置くことになった自身の育成ドライバー、フランコ・コラピントがF1で成功を収められると確信している。今週末、フランコ・コラピントが昨年のアブダビGP以来となるF1に出走する。ジャック・ドゥーハンの代役としてアルピーヌF1のレースシートを引き継いだ形だ。
ルノーが2016年に買収して以降、エンストン拠点のアルピーヌF1チームは度重なるリブランドと、技術部門および上層部の相次ぐ交代により「運営の混乱」という評判を定着させてきた。直近では元チーム代表のフラビオ・ブリアトーレが「エグゼクティブ・アドバイザー」として復帰し、自身が率いるハイテックからオリバー・オークスがチーム代表に就任。しかし先週、ドゥーハンからコラピントへの交代が発表される直前に、オークスは即時辞任した。このオークスの辞任とドゥーハンの交代という2つの出来事の関連性については、今なお憶測が飛び交っている。さらに、オークスの弟が今月初めにロンドン警視庁によって多額の現金とともに摘発され、「犯罪収益の移転」の罪で起訴されたことも騒動に拍車をかけた。これら一連の出来事によって、「危機状態にあるチーム」との印象はますます強まっている。だが、ウィリアムズF1で育成され、昨年はロガン・サージェントの代役としてF1デビューを果たした後にアルピーヌへ移籍したコラピントについて、ジェームス・ボウルズは「困難な状況でも成長できる」と確信している。「今は混乱の時期か? それは間違いない」と、ボウルズはメディアに対して語った。「だが彼ら(アルピーヌ)はピエール(ガスリー)とフランコをきちんとサポートすると思っている。なぜなら、両者はチームのために最大限のポイントを稼ぐ“エリートアスリート”だからだ」「通常、どんなに状況が不安定でもドライバーの支援は行われる。それは非常に価値のある経験になる。どんなチームであっても、困難な環境下での走行は学びが大きい。そしてそれを乗り越えたとき、人は必ず強くなる」「そして、フランコは強い。だから今の彼にとってアルピーヌは正しい場所だと考えている」昨年ウィリアムズで9戦に出走し、ロガン・サージェントに代わって好パフォーマンスを見せたコラピントだったが、同チームにはすでにアレックス・アルボンとカルロス・サインツのラインアップが決定しており、レースシート復帰の見込みは薄かった。一方、アルピーヌのドゥーハンには契約上「一定数のレース出走」のみが保証されていたと噂されており、移籍によってチャンスが拡がった形だ。ただし、コラピントにも「5戦限定」の“猶予期間”が設けられており、将来が確約されているわけではない。「アルピーヌとの契約に踏み切ったのには理由がある。彼にとって最も現実的なレースシート獲得の道がそこだったからだ」とボウルズは語った。「2025年、あるいは我々が特に想定していたのは2026年に向けて、彼がグリッドに残る可能性を広げる最善の手段だった」「彼が我々のアカデミーにいたことを誇りに思っているし、彼が今F1グリッドに立てているのは、我々の責任も一端を担っていると思っている」「ウィリアムズでの走りを見れば分かる通り、彼は非常に短期間でF1のペースに順応した。そして、彼は本当に速い。アルピーヌがどんな“期限”を設けようとも、その限られたチャンスの中で、彼は必ず自身の価値を証明してみせるだろう」