2025年FIA世界耐久選手権(WEC)最終戦「バーレーン8時間レース」で、#7 トヨタ・ガズーレーシング(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組)が優勝を飾った。これによりトヨタは2015年以来初の未勝利シーズンを回避し、同地で8年連続となる勝利を手にした。2位には#8トヨタ(セバスチャン・ブエミ/平川亮/ブレンドン・ハートレー組)が入り、1-2フィニッシュを達成。
3位には#50フェラーリが入り、この結果フェラーリはマニュファクチャラーズ選手権を制覇。さらに#51フェラーリ(アレッサンドロ・ピエル・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ組)がドライバーズタイトルを獲得した。トヨタが主導したレース展開ポールポジションからスタートした#7トヨタのコンウェイが序盤をリード。#8トヨタのハートレーが背後につける形で1時間が経過した。最初のピットでは事前に計画された戦略により、#8はタイヤを交換せずに素早くピットアウト。一方で#7は新品タイヤを装着し、終盤のアドバンテージを狙った。この判断により一時的に#8が先行するが、タイヤ摩耗によりペースを落とし、#51フェラーリのジョビナッツィに先行を許す展開に。コンウェイからデ・フリースに交代後、#7は再び首位を奪い返した。VSCとペナルティがレースを揺るがす中盤、GT3クラスの#54 AFコルセ・フェラーリが大クラッシュし、VSC(バーチャル・セーフティカー)が導入される。この際、#38キャデラックを駆るジェンソン・バトンが接触の原因を作ったとされ、これが彼のプロドライバーとして最後のレースを波乱のものにした。このVSC下で多くのハイパーカーがピットイン。再開後、#009アストンマーティン・ヴァルキリーを駆るアレックス・リベラスが新タイヤの利を活かし首位に浮上、ハイパーカー時代で初めてアストンマーティンがレースをリードした。しかし、その直後にVSC手続き違反でドライブスルーペナルティを科され、リーダーの座を失う。小林可夢偉の堅実なリードとトヨタの1-2体制デ・フリースから小林可夢偉に交代した#7は安定したペースでトップを維持。途中、プジョーの新人テオ・プルシェールが一時トップに立つ場面もあったが、可夢偉が確実に首位を奪い返した。一方、#8トヨタの平川亮は黄旗区間でのオーバーテイクによりドライブスルーペナルティを受け、優勝争いから脱落。それでもブエミが最終スティントでペースを取り戻し、2位を確保した。フェラーリがタイトルを制す3位でフィニッシュした#50フェラーリは、マニュファクチャラーズタイトルをフェラーリにもたらした。一方で#51フェラーリは、終盤にチーム内で順位を入れ替え、ピエル・グイディ/カラド/ジョビナッツィ組が初のハイパーカークラス王者に輝いた。なお、#83 AFコルセ・フェラーリ(ロバート・クビサ/イェ・イフェイ/フィル・ハンソン組)は5位でゴールし、ドライバーズランキング2位でシーズンを終えた。LMGT3はレクサスが制覇LMGT3クラスでは#87 ASPレクサス(ホセ・マリア・ロペス/ペトル・ウンブラレスク/クレメンス・シュミッド組)が完勝。序盤から安定したスピードを見せ、ポールポジションの#78レクサスがメカニカルトラブルで脱落する中、8時間を通してリードを維持した。2位には#61アイアン・リンクス・メルセデスAMG、3位には#27ハート・オブ・レーシング・アストンマーティンが続いた。トヨタは再起、フェラーリが戴冠シーズン最終戦となったバーレーンは、トヨタが意地を見せた一方で、年間タイトルをすべてフェラーリが手中に収めた象徴的な結末となった。ハイパーカーカテゴリー3年目のWECは、複数メーカーが勝利を分け合い、2026年シーズンへの新たな勢力図を予感させる幕引きとなった。
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