マーク・ウェバーは、DRSやデグラデーションの速いタイヤなどのオーバーテイクを補助するシステムがF1の魅力を減退させていると考えている。 2011年にF1に参入したピレリが課題としたのは、ブリヂストンが激しいタイヤデグラデーションに悩まされた2010年のF1カナダGPを再現することだった。結果として多くのレースでピットストップの回数が増え、フレッシュなタイヤを履いたドライバーが、タイヤの古いライバルをアタックするチャンスにつながっている。
リアウイングに取り付けられた可動フラップによってストレートのスピードを増加して前を行くマシンを追うことを可能にするDRSの導入に加え、ピレリタイヤに移行したことで、F1のオーバーテイクは増加した。しかし、マーク・ウェバーはドライバーがオーバーテイクをするのがあまりにも簡単になったと考えており、タイヤの“温存”によってレース中にプッシュできなくなっていると述べた。「サッカーやテニスといったスポーツのトップレベルを見てみれば、そのような大きな変化はなかった。サッカーのゴールを大きくすればメッシは前よりも満足するだろうか? たぶん違う。なぜなら、彼には能力があるからだ」「不運にも今はグランプリあたり20回のオーバーテイクを人々が見込んでいる。それが現在のスタンダードのようなものだ。もっとオーバーテイクが少なくても全般的により質の高いレースならやっていけるはずだと思う。決してドライバーが問題なのではなく、ただ彼らが対処する必要に迫られているということだ」 「僕はグリッド上位のドライバーたちを代弁しているんだ。なぜなら、彼らは実際のところどう感じているかを言うことができないからね。でも、僕は今、彼らに向かって話している。2015年のレースペースを2000年代中頃と比べてくれみたらいい。たぶん、モントーヤはマレーシアでセブを3回半、周回遅れにしただろうね!」「でも、人々はそこを見ていない。以前はマレーシアのコース奥の限界は度胸と能力の示しどころだった。今は“タイヤをセーブしろ”になっている」 また、マーク・ウェバーは、複雑さが増したことで人がF1への関心を失っていると考えている。「僕たちはテクニカルレギュレーションとスポーティングレギュレーションにどう対処し、何が起こっているのかをすべて説明する必要があるように見える。なぜ単純にやらないんだろう? 内輪のことをすべてさらす必要なんてない。結局は最終的なリザルトだ。すべてを説明しようとしなくてもいい。僕が話したほとんどの人は、DRSとは何なのか、ソフトとスーパーソフトとは何なのかには及び腰で、テレビをつけて自分たちが何を見ているのか理解することはできないと感じている」
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