F1カナダGPでフェラーリの戦略ミスによって勝利の可能性を逃したセバスチャン・ベッテルがチームを批判することはなかったが、代わりにイタリアのメディアがチームの危機を煽っている。F1カナダGP後、セバスチャン・ベッテルは「僕たちはこれまでよりも勝利に近づいていた。ちょっとシュールなときもあると思う。僕たちはイタリアのチームだ。フェラーリはイタリアで素晴らしい情熱と多くの価値を味方につけているけど、イタリアのプレスが最大の敵のように思うときもある」とコメント。
記者会見でセバスチャン・ベッテルは、イタリアのジャーナリストに「素晴らしいことを書いてくれることは、マラネロの全員にとって素晴らしいメッセージになる。彼らは強いフェラーリカーを造るために明けても暮れても一生懸命に仕事をしている」と訴えた。セバスチャン・ベッテルのこの発言は、イタリアのメディアにフェラーリへの厳しい批判を和らげることを求めたと解釈されている。イタリアでは毎日フェラーリの報道が頻繁に行われており、特に最近は否定性が強くなっている。キミ・ライコネンは、絶えずチームでの将来関して騒がれており、カナダでのパフォーマンスもその標的になった。また、カナダではテクニカルディレクターのジェームス・キーがフェラーリを離脱するとの報道が盛んに行われ、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは、それを否定するとともに“敬意に欠けている”と批判している。「数日前、ジェームスについての記事を読んだが、私の意見では、それは無礼なことだ」とマウリツィオ・アリバベーネはコメント。F1カナダGPでは、フェラーリの戦略ミスがセバスチャン・ベッテルの優勝の可能性を潰したと批判的な見出しが躍った。レースでは、セバスチャン・ベッテルが3番グリッドから素晴らしいスタートでトップに立ったが、バーチャル・セーフティカー中の12周目にピットインしたことで、リードを失った。マウリツィオ・アリバベーネは「我々はタイヤのデグラデーションを過大評価していた。それがベッテルをピットインさせた理由だ。間違った決断だった」と認めている。だが、セバスチャン・ベッテルは「デグラデーションは予想よりも高くなかったかもしれない。あそこがレースを失った場所かもしれないね。でも、ひとつクリアにしておきたい。僕は誰かを批判したり、何かを批判するのは好きではない」とコメント。「フェラーリにとって素晴らしい週末だったと思う。僕たちは難しいシーズンのスタートを切った。クルマ本来のパフォーマンスをあまり示すことができなかったからね。土曜日と日曜日を見れば、今週末は初めてのクリーンな週末だったかもしれない。実際、レースをとても楽しんだしね」「望んでいた結果は出せなかった。特にスタートの後はね。でも、とても楽しかったよ。残り30周はとにかく全開だった。ちょっとハードにプッシュしすぎたときもあったかもしれない。とにかく素晴らしい感覚だった。レースにはなくてはならないものだ」「もう少し忍耐強くなるようお願いしたい。チームは素晴らしい道を辿っているし、状況は良くなっている。僕たちがF1史でこれまで他の誰よりも速いことは結果でわかっていると思う」「僕たちは正しい道にいると思う。素晴らしいチームだし、僕はそれを楽しんでいる」とセバスチャン・ベッテルは語り、イタリアのメディアに対して、チームに仕事に集中させてくるようメッセージを送った。