2026年F1レギュレーションという大きな転換点に向け、各チームの新型パワーユニットが少しずつ姿を現し始めている。メルセデスや、ホンダと組むアストンマーティンはすでにSNS上で新エンジンのサウンドを公開しているが、フォードと提携するレッドブルの自社製パワーユニットは、いまだベールに包まれたままだ。
その中で、マックス・フェルスタッペンがファンに向けて“最初のレビュー”を口にした。ただし、それはラップタイムでもトルクカーブでも、エネルギー回生のグラフでもない。彼が語ったのは、音だった。2026年からF1は、内燃機関と電動出力を50:50で分ける新時代に突入する。その中で、エンジンサウンドが話題になるという、いかにもシーズンオフらしい光景が広がっている。「クリスプだった」フェルスタッペンの率直な第一声フェルスタッペンは「Talking Bull」ポッドキャストに出演し、レッドブル・パワートレインズが開発中の新パワーユニットについて、ごく簡潔な評価を下した。「うん、いい音だったよ。もちろんダイナモ上で聞いたものだけど、音がクリスプ(輪郭がはっきりしていて、濁りやこもりのない、歯切れの良い音という意味)だった。実際に音そのものを開発したのかは分からないけど、いい音をしていた」世界王者らしい、余計な装飾のない言葉だ。「衝撃的だ」とも「タイトルを獲れる」とも言わない。ただ“クリスプ”。その一言に、どこかでレッドブルのエンジニアが静かにうなずいたかもしれない。音が語られ始める、F1オフシーズンの風物詩F1の暦の中で、この時期はエンジンサウンドが、あたかも選手権の行方を占う材料のように扱われる瞬間でもある。シミュレーションや信頼性テスト、空力相関よりも、「速そうに聞こえるかどうか」が語られる。ダイノでの録音が、まるでポールラップのオンボード映像のように分析され、「クリスプ」という言葉が、技術指令一本分以上の重みを持ってしまう。まさにスローニュースデーの象徴だ。それでも、わずかな差にすべてを賭けるF1という世界では、エンジンの“音色”ですら議論の火種になる。そして、それが現王者のマシンに関わるものであれば、なおさら注目を集めることになる。