F1サンパウロGPで、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が今季屈指のリカバリードライブを披露した。予選Q1敗退で16番手に沈み、セットアップ変更によりピットレーンスタートを選択。それでも決勝では猛烈な追い上げを見せ、表彰台フィニッシュを果たした。レッドブルの顧問ヘルムート・マルコ博士は「最高レベルのダメージリミテーションだった」とORFに語り、王者が失地を最小限に抑えたことを称賛した。これでタイトル争いの望みはわずかに繋がったものの、依然として不安定なパフォーマンスの原因は解決していな...
ピレリタイヤが鍵?ラルフ・シューマッハが分析元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、レッドブルの不安定な戦闘力について「ピレリタイヤの特性が根本原因だ」とSkyドイツに語った。「ヨス(フェルスタッペンの父)とも話したが、これらのタイヤを最適な作動温度に持っていくのがどれほど難しいか想像できないと言っていた」とシューマッハは述べた。「メルセデスや時にマクラーレンも同じ問題を抱えているが、これまで多くのタイトルを獲得したトップチームが同じ苦労をしているのは異常だ」。マルコ博士もこの見解に同意し、「作動ウィンドウを広げる必要がある」と語った。「気温が4度上がるだけでグリップを失い始める。シミュレーションと現実の間に乖離がある。残りのレースで解決できればいいが……残念ながらノリスにさらに10ポイント離された」。フェルスタッペン「なぜかブラジルではうまくいく」失望の中でも、フェルスタッペンの追い上げはパドックを驚かせた。彼にとってブラジルはこれまでも相性の良い地であり、今回もまるで簡単にオーバーテイクを重ねていった。「理由は分からない」とフェルスタッペンは笑う。「ここは特に長いサーキットじゃないし、コーナーも8つしかない。でも正確さが求められるし、クリーンに走らなきゃいけない。タイヤにも厳しい。なぜか毎回うまくいくんだ」。週末を完全支配したランド・ノリスも、フェルスタッペンの走りに敬意を示した。「正直言って、マックスの速さを見て少しがっかりした。僕らがもっと速くあるべきだった」とノリスは語った。「タイトルは開幕からザントフォールトまでで失った」タイトル争いについて問われたフェルスタッペンは、冷静にこう答えた。「このレースでチャンピオンを失ったわけじゃない」とViaplayに語った。「開幕戦からザントフォールトまでの間に失ったんだ。スピードが足りない週末が多すぎた。その合間に良い結果もあったけど、十分じゃなかった。そういうシーズンなんだ」。ローラン・メキース「マシンが再び息を吹き返した」レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、前向きな兆候も見ている。「何より重要なのは、マシンが再び息を吹き返したことだ」とメキースは語った。「我々は再び戦えたし、良いラップタイムも記録できた。ラスベガスではマックスに少しでもリラックスした週末を過ごさせたいと思っている。日曜のスピードを再現できればね」。レッドブルの課題と今後への展望今回のブラジルでフェルスタッペンは見事なリカバリーを見せたが、チームの根本的な課題――タイヤ作動温度の不安定さとシミュレーション誤差――は依然として残る。マルコ博士が指摘するように、気温の変動だけでマシンバランスが崩れる現象は深刻だ。残り2戦、ラスベガスとアブダビでこの問題を克服できるかが、フェルスタッペンとレッドブルの2025年を象徴する最後の試練となる。