レッドブル・レーシングでマックス・フェルスタッペンのチーフメカニックを務めてきたマット・コーラーが、2025年末でチームを離れ、2026年からアウディF1へ加わることが明らかになった。フェルスタッペンの黄金期を支えたキーパーソンの移籍は、アウディの参戦準備が本格化している証でもある。アウディはすでにマッティア・ビノット率いる体制の下でフェラーリ出身エンジニアやオペレーション人材を次々と獲得しており、今回のコーラー加入で戦力強化にさらに弾みがつく。
一方、レッドブルでは主要スタッフの流出が相次ぎ、王者チームの屋台骨に揺らぎも見え始めている。アウディがフェルスタッペン担当メカを引き抜きアウディF1は2026年の参戦に向けて、マックス・フェルスタッペンのチーフメカニックを務めていたマット・コーラーを獲得した。コーラーは2025年末にレッドブルを離れ、翌年からアウディの新体制に加わる。今回の移籍は、ザウバーを引き継ぐアウディにとってさらなるハイレベルな人材を確保する重要な一手だ。チームはここ数カ月でフェラーリ出身のエンジニア、ヴォルフ・ツィマーマンとラース・シュミットを招聘しており、両者は現在アウディの最高執行責任者兼テクニカルオフィサーを務めるマッティア・ビノットの下で再びタッグを組むことになる。フェルスタッペンの成功を支えた“職人”コーラーはジュニアチームのロダン・カーリンでキャリアをスタートさせ、2015年にレッドブルへ加入。ナンバー2メカニックとして経験を積み、2022年にはチーフメカニックに昇進した。その時期はちょうどフェルスタッペンが圧倒的な強さを誇示し、連続タイトルを獲得していた頃だ。パドック内では緻密な仕事ぶりで知られ、ガレージオペレーションやセットアップの実行、チーム全体の調整などにおいて中心的な役割を果たしてきた。2022年から2025年にかけてのレッドブルの支配的な成績を支えた重要人物のひとりとされている。アウディはこのコーラーの「完璧主義的な姿勢」が2026年の初年度からチームの即戦力になると期待しており、現時点で具体的な役職は明らかにされていないものの、レッドブル時代よりも上位のメカニカル部門またはオペレーション部門の責任者に就任する可能性が高いと見られている。レッドブルの人材流出が深刻化コーラーの移籍は、アウディが進める積極的な人材引き抜き戦略の一環でもある。レッドブルからは今季、チームマネージャーのジョナサン・ウィートリーやリー・スティーブンソンなど、複数のキーパーソンがすでにアウディ陣営へと移籍している。こうした動きは、フェルスタッペン時代の成功を支えた中核スタッフが次々とチームを離れるという、レッドブルにとって大きな課題を浮き彫りにしている。アウディの参戦準備が進むなかで、その影響力はF1パドック全体に確実に広がりつつある。分析:アウディの戦略は“人”から始まるアウディは2026年の新時代に向け、テクノロジーだけでなく「人材」こそが勝負の鍵と見ている。ビノットを中心とした技術陣に続き、現場の実務を担うメカニック層まで強化を進めており、短期間での戦力化を狙う構図だ。レッドブルからの流出は同チームの強さを脅かす要因にもなりうる。今後アウディがどこまで組織の成熟度を高め、F1初年度から競争力を発揮できるかが焦点となる。Source: motorsportweek.com