マックス・フェルスタッペンはニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)でGT3カーを走らせるライセンスを正式に取得し、自身のバケットリストの一つを叶える道を切り開いた。先週末のADAC ACASカップ(4時間レース)でフェルスタッペンはポルシェ・ケイマン718 GT4 CSをドライブした。このマシンは4度のF1ワールドチャンピオンである彼がまだGT3やGT4車両を走らせるために必要な「Permit A」を持っていなかったため、性能を落とした仕様での参戦だった。
本来、複数台の車両で規定条件を満たす必要があったが、そのうちの1台を損傷したことで条件を完全には満たせなかった。しかし、関係委員会はケースを精査し、最終的にフェルスタッペンへDMSB Permit Aを付与する判断を下した。これにより、フェルスタッペンの次なる目標であるGT3カーでの参戦が可能となり、ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)の総合優勝争いに挑めることとなった。その初機会はF1アゼルバイジャンGPとシンガポールGPの合間となる9月27日、NLS第9戦「ADACバルバロッサプライス」(4時間レース)になる見込みだ。今回は、5月に「フランツ・ヘルマン」テストでドライブしたスイスのエミール・フレイ・レーシングのフェラーリ296 GT3でエントリーリストに名を連ねることが予想されている。「ニュル24時間は素晴らしい」フェルスタッペンの究極の目標は、このサーキットの頂点イベントである「ニュルブルクリンク24時間レース」に参戦することだ。幸い、2026年の開催日程は5月15日〜17日で、F1のマイアミGPとカナダGPの間の3週間の休暇期間に収まる。本来なら世界各地でGT3参戦は可能だったが、フェルスタッペンが特別な許可を取得してまで北コースにこだわる理由は明らかだ。iRacingなどのシミュレーターで数百周を走り込んできた彼にとって、この「グリーン・ヘル」は憧れの舞台だった。F1のグレード1規格のサーキットに慣れてきた中で、フェルスタッペンはかねてから伝統的なロードコースを高く評価し、「魂のないストリートサーキット」とは一線を画してきた。2024年のエミリア・ロマーニャGP(イモラ)で彼はこう語っている。「素晴らしいサーキットだ。カレンダーにこういうトラックが24戦あればいいのにと思う。我々が行くトラックの多くは本当にワクワクさせない。残っている数少ないオールドスクールなサーキットこそ、僕がレースを始めたりF1を見始めたときに恋に落ちた理由なんだ」全長20kmに及ぶ北コースは、標高差、複雑なコーナーシーケンス、森林に囲まれたランオフの限られた環境など、まさに「オールドスクール」の極致だ。フェルスタッペンは週末の走行後にこう振り返った。「すべて順調に進んでDMSB Permit Nordschleifeを取得できてうれしい。ここではいつもそうだが、本当に楽しめた。レースでは速い車や遅い車とのトラフィックの中でスティントを走ることができた。『コード60』のニュートラル化、ダブルイエローや通常のイエローも経験した。ウェット、ドライ、ミックスコンディションでも走ったし、グリップがある場所とない場所も学んだ。スタート手順も経験できた。このサーキットでさらに経験を積めたのは本当に良かった」「路面は場所によって違っていて、1周をまとめるのは難しいが、それこそが特別なんだ。ここでGT3カーを駆って24時間レースに挑めるなんて、素晴らしいことだ」ル・マン24時間は自分のチームで?フェルスタッペンの夢はニュル24時間にとどまらない。すでにチームオーナーとしての第一歩を踏み出しており、次なる構想はル・マン24時間への挑戦に広がっている。今年、Verstappen.com RacingはGTワールドチャレンジ・ヨーロッパに参戦。2シーズ・モータースポーツの運営で、アストンマーティンAMR GT3 Evoをハリー・キング、クリス・ラルハム、ティエリー・フェルムーレンがドライブしている。フェルムーレンはマネージャーの息子で、エミール・フレイ・レーシングが走らせるフェラーリでDTMにも参戦している。ラルハムの起用は、フェルスタッペンが優秀なシムレーサーを実車レースへ導く「架け橋」を作る意図の現れだ。フェルスタッペンと同じ「チーム・レッドライン」に所属し、バーチャルでル・マンやニュルブルクリンク24時間を制した経験を持つ22歳のイギリス人ラルハムは、フェルムーレンとともにGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのゴールドカップクラスでタイトルを狙える位置にいる。フェルスタッペンはチームオーナーとしての野望についてこう述べる。「まずは自分たちのGT3チームを持つことが第一歩だ。その後どこまで行けるか見てみたい。エンデュランスレースの最高レベルまで成長できたら素晴らしい」「僕が何かをやるときは正しくやりたい。勝ちたいんだ。そしてこれは、シムレーシングからGT3へのステップを作ることでもある。今はモータースポーツに入るにはカートしかないけど、それには多額の費用がかかってしまう」エンデュランスレースの最高峰であるル・マン24時間参戦は、近年GT3マシンの採用も進んでおり現実味を帯びている。しかし、サルト・サーキットに挑むタイミングはフェルスタッペンがF1キャリアを終えた後になる可能性が高い。
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