レッドブルF1のマックス・フェルスタッペンは、今週末のF1イギリスGPを前に、2026年に向けた将来の去就について再び問われたが、メルセデス移籍の噂に対する具体的なコメントは避けた。4度のワールドチャンピオンであるフェルスタッペンは、ジョージ・ラッセルがオーストリアGPで「メルセデスがマックスと会話している」と明かしたことを受け、シルバーストンの記者会見でも注目を集めた。なお、ラッセルの現行契約は今季末で終了する。
一方ラッセル本人は、来季もメルセデスで走る可能性は「極めて高い」と語ったものの、木曜日の記者会見では新契約の締結についての言及はなかった。こうした一連の流れにより、フェルスタッペンのメルセデス移籍に関する憶測はさらに加速。しかし、当のフェルスタッペンは、報道陣の質問に対してこう答えた。「語ることは何もない。先週話したことと同じだ。ほかの人が記事を書くのは自由だけど、それは僕の話じゃない」さらにフェルスタッペンは続ける。「“隣の芝生は青い”って言うけど、冷静に、そして今やっていることを楽しむべきだと思う。これまでのキャリアで多くの成功を収めてきたし、もちろん今シーズンはチームとして望んでいたような展開にはなっていないけど、それもまたF1では起こり得ることだ」「そんな時は、そういう状況を受け入れることも大切なんだ。他の人が物語を作っているだけで、僕の話ではない。自分が何を持っていて、何ができるかは自分でわかっているし、それで十分だ」フェルスタッペンは2015年にトロ・ロッソ(現レーシングブルズ)からF1デビューし、翌年にはレッドブル・レーシングに昇格。スペインGPでのデビュー戦勝利を皮切りに、2021年から2024年まで4年連続でドライバーズタイトルを獲得している。今シーズンも2勝を挙げているが、前戦オーストリアGPではアンドレア・キミ・アントネッリとの接触でリタイアとなり、選手権リーダーであるオスカー・ピアストリに61ポイント差をつけられている。木曜日のメディアデーでは、シルバーストンのレッドブル・モーターホームが記者で埋め尽くされ、先週と同様の質問が飛び交ったが、フェルスタッペンは一貫して沈黙を貫いた。その後、よりリラックスした雰囲気のTVインタビューエリアで母国オランダの放送局Viaplayに登場し、「みんな短い返答しかもらえなかったから、完璧なセッションだったよ」と皮肉を込めて振り返った。移籍に関する噂の背景には、フェルスタッペン側の代表者がメルセデスに2026年以降の計画について打診したとの報道もある。これが、メルセデスがジョージ・ラッセルやアンドレア・キミ・アントネッリとの契約延長を保留している理由の一端とされている。フェルスタッペンは、F1の将来について再びメディアからの質問を受けた。一方で浮上していたのが、フェルスタッペンが2026年にF1を一時離れ、様子を見たうえで再参戦する「サバティカル説」だった。F1への愛着があるとはいえ、周囲の喧騒や政治的な側面に対する疲れも一部ではささやかれていた。実際、彼が設立したGT3チームは、先週のスパ24時間レースでクラス優勝を果たしており、フェルスタッペン本人もアントネッリとの接触でリタイアした後、その決着を見届けるため現地にとどまった。今後、F1との並行参戦を希望しているが、少なくとも2028年まではF1に専念する意向を明確にしている。「いや、それはない。僕はF1に集中している。もちろん将来的にはF1以外のカテゴリーにも挑戦したいと思っているし、今もテストなどを通じて少しずつ経験を積んでいる。でもF1を続けながら、準備ができる範囲で他のレースと両立していきたい」焦点となっている2026年の新レギュレーションについても、フェルスタッペンは不確実性の高さを強調した。「F1では常に最速のマシンに乗れるとは限らない。将来を見通す必要があるけど、それは難しい。2年前に今の状況を予測できた人がいたかい?」「だからその点にあまり集中していない。今の僕の唯一の焦点は、現状を改善することだ」「今は我々が望むような位置にはいない、それは明らかだ。でも、来年にはまた大きく変わっているかもしれない。最速のクルマを追いかけたとしても、来年にはそうじゃなくなっているかもしれない。それがF1というスポーツなんだ」「だからこそ、僕はレッドブルと契約しているんだ。来年のことを100%の確信で語れる人なんていない。来年は未知の要素が多すぎる。僕の仕事は、与えられたマシンで全力を尽くして速く走ることだけだ」「以前のレギュレーションの時も、マクラーレンが突然ここまで強くなるなんて誰も予想していなかったはず。全部が噛み合うまでには時間がかかる。今回はその逆だった。僕たちは前回のレギュレーション変更時にすごくうまくやれていたけど、今は少し苦しんでいる。なぜ他チームと同じような進化ができなかったのか、それを解明しないといけない」「でも2026年は完全に異なる規則で、クルマに求められるものもまったく違ってくる。前回の世代のクルマでは、最初に苦しんで最終的には形にできた。今回はその逆だった。だから、今後どうなるかは本当に分からない」F1の未来が激動する中、フェルスタッペンは一歩引いた姿勢を取りつつも、冷静に現実を見据えている。口は重くとも、その言葉の一つ一つが、彼の視線が依然としてF1の頂点に向けられていることを物語っている。
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