マックス・フェルスタッペンは、2025年F1モナコGP決勝で自身が採った戦略について「驚きの展開を狙うしかなかった」と振り返りつつ、新たに導入された2回の義務ピットストップルールについては「まるでマリオカートのようだった」と皮肉を込めて批判した。フェルスタッペンは予選で5番手に終わったが、ルイス・ハミルトンのグリッド降格によって決勝は4番手からスタート。序盤はランド・ノリス、シャルル・ルクレール、オスカー・ピアストリの3人を追いかける形となった。
今年のモナコGPでは、2024年にトップ10がスタート順位のままゴールしたという退屈な展開を受けて、F1とFIAが新たな試みとして「最低3種類のタイヤコンパウンドを使用する」ことを義務付け、事実上2ストップのレースフォーマットを採用。これにより戦略の幅が広がり、レースには予想外の要素が加わった。その影響で、レーシングブルズやウィリアムズはピットウインドウを開けるために一部のドライバーが意図的にスロー走行を行い、チームメイトのためにスペースを作るという異例の戦略も展開された。一方、フェルスタッペンはレース終盤まで2回目のピットストップを行わず、赤旗中断によって“無料”でタイヤ交換ができる展開に賭けた。最終的にそのチャンスは訪れず、残り2周でピットイン。レースをリードしていたポジションから4位に後退してフィニッシュした。「正直、改善できる部分はあまりなかった」とフェルスタッペンは語る。「後ろには大きなギャップがあった。だから、ステイアウトして赤旗が出るのを期待するしかなかった。それが唯一、サプライズを起こせる可能性のある選択肢だった」「もっと早くピットに入ることもできたけど、それをやったところでどうせ4位に戻るだけだった。だからやれることを試してみた」さらに今回の新ルールについて問われると、フェルスタッペンは率直な見解を示した。「もちろん、(F1やFIAが)何かを変えようとする意図は理解している。でも、それがうまくいったとは思わない」とSky Sports F1に語った。「ここではどうやってもレースにならない。1ストップだろうが10ストップだろうが関係ない。僕はレース終盤リードしていたけど、タイヤは完全にダメになっていた。それでも誰にも抜かれなかった。今のF1カーなら、F2カー相手にでもこのコースでは抜けない」「ほとんどマリオカートみたいだったよ。いっそクルマに装備をつけて、バナナでも投げられるようにすればいい。滑りやすい路面とね」また、モナコの市街地サーキットがレッドブルF1の長年の課題であるバンプや縁石の多い低速セクションでの弱さを露呈したことも認めた。予選ではランド・ノリスに約0.7秒差をつけられ、ポール争いには絡めなかった。「ここは僕たちのトラックじゃない。それだけのことだ」とフェルスタッペンは言い切る。「スペインではもっと良くなることを願っている。イモラでのような形に近づければいいけど、それは実際に走ってみないとわからないね」「今日の結果は、僕たちができた最大限のものだった。前の3台と戦えるだけのペースはなかった。彼らについていこうとすると、すぐにタイヤが摩耗してグレイニングが起きてしまっていた。だから、予選がすべてだ。何もトラブルが起きなければ、順位はそのまま。実際、今日はまさにそういう展開だった」この結果により、フェルスタッペンはドライバーズランキング3位を維持。首位のオスカー・ピアストリとの差は25ポイントとなり、チームメイトのノリスは今季2勝目を挙げてピアストリとの差を3ポイントにまで縮めた。レッドブルF1はコンストラクターズランキングで3位。フェラーリに1ポイント差、メルセデスには4ポイント差という接戦の中、次戦スペインGPでは再び主導権を握ることが期待されている。