マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が2度目のF1ワールドチャンピオンに輝くまでのプロセスを振り返っていく。真のチャンピオンの証とは、チャンピオンになることではなく複数回チャンピオンになることだと言われるが、2022年F1シーズンのマックス・フェルスタッペンは、4戦を残して2度目のドライバーズチャンピオンシップを確定させ、スタイリッシュにその証を手に入れた。
これにより、マックス・フェルスタッペンは、ナイジェル・マンセル、ミハエル・シューマッハ、セバスチャン・ベッテルだけが保持している記録 “4戦以上を残してタイトルを確定させたドライバー” も手にした。序盤のトラブルマックス・フェルスタッペンの2度目のタイトル獲得への道のりは平坦ではなかった。F1が新時代を迎え、RB18が用意されたが、大幅に改変されたレギュレーションによってデザインがグラウンドエフェクト時代へ回帰したため、開幕時のこのマシンは速いが不安定だった。その開幕戦バーレーンGPのマックス・フェルスタッペンは、ブレーキのトラブルに悩まされてフェラーリのシャルル・ルクレールとのバトルから後退すると、ピットストップ後にはステアリングホイールの問題に見舞われ、さらには燃料システムにも問題が発生してリタイアを強いられた。マックス・フェルスタッペンは「結局のところ、モータースポーツは予測不可能なので、このような出来事は起こりうる。今日は初戦でまだ先は長い」とコメントを残した。いきなりダメージを受けてしまったが、バーレーンGPはチームが2022シーズンの戦いに向けてしっかりと準備をしてきたことを示した。トップへその準備は1週間後のサウジアラビアGPで結果に繋がる。セルジオ・ペレスが予選で最速ラップをマークして悲願のキャリア初ポールを獲得した一方、マックス・フェルスタッペンはフェラーリ勢の後方、4番手で予選を終えたが、決勝レースのディフェンディングチャンピオンはまたも素晴らしいドライブを見せた。間の悪いセーフティカーによってセルジオ・ペレスが後方に下がる中、マックス・フェルスタッペンはシャルル・ルクレールの後方、2番手につける。そして残り10周を切ると、フェルスタッペンは勝負に出た。ここから先はフェルスタッペンの速さを示す最高の例となり、フェルスタッペンは6周に渡りルクレールと強烈なバトルを演じて、ルクレールを追い込む。そして47周目にフェルスタッペンはルクレールに再接近すると、そのままオーバーテイクを決めてシーズン初勝利を挙げた。次戦オーストラリアGPのマックス・フェルスタッペンはまたも不安定なマシンに振り回されてしまい、たった38周でリタイアしてしまう。一方、シャルル・ルクレールはシーズン2勝目を挙げて71ポイントまで伸ばし、フェルスタッペンに46ポイント差をつけることに成功した。レース後、フェルスタッペンは「シャルルとのギャップがすでに広がりつつある。簡単には修正できそうにないので、チーム一丸となってハードワークする必要がある」とコメントを残した。サンデーマックスそのハードワークはすぐに結果へ繋がった。シーズン最初のスプリントが開催された第4戦エミリア・ロマーニャGPで、マックス・フェルスタッペンとチームは最高のパフォーマンスを見せた。フェルスタッペンはルクレールに続く2番手で21周のスプリントを迎えると、タイヤのデグラデーションに苦しむルクレールを見事に抜き去って8ポイントと決勝ポールスタートを手にした。そして決勝も同様の展開になる。マックス・フェルスタッペンが強力なリードを築いたあと、シャルル・ルクレールがタイヤのデグラデーションに再び悩まされると、フェラーリはルクレールにソフトを履かせるギャンブルに出てフェルスタッペンを追撃させようとする。しかし、フェルスタッペンが冷静に築いたリードを縮めようとしたルクレールはスピンを喫し、6位でレースを終えた。マックス・フェルスタッペンはセルジオ・ペレスを従えて盤石の勝利を挙げ、2016シーズンのマレーシアGP以来となるワンツーフィニッシュをチームへプレゼント。ドライバーズチャンピオンシップは依然として86ポイントのルクレールが首位だが、フェルスタッペンが59ポイントまで積み上げたため、その差はわずか27ポイントまで縮まった。軽量化続くマイアミGP、スペインGP、アゼルバイジャンGP、カナダGPで勝利したマックス・フェルスタッペンは序盤9戦で6勝を挙げ、ドライバーズチャンピオンシップで46ポイントのリードを築いた。しかし、このような快適なリードを得られた要因は、フェルスタッペンのRB18に対する順応レベルの向上だけではなかった。ファクトリーでチームが不眠不休でパフォーマンスを追求したことが結果に繋がったのだ。近年のF1マシンはシーズンを重ねるごとに重量が増しており、マックス・フェルスタッペンは今シーズン開幕後に車重の増加がマシンを遅くしていると繰り返しコメントしていた。RB18は低速コーナーでスピードが出ず、アンダーステアの傾向が強かった。つまり、ダイエットする必要があったのだ。そのため、ミルトンキーンズは軽量化とより頑丈なフロントエンドにフォーカスし、マックス・フェルスタッペンが優れたマシンコントロール能力でリアエンドの不安定な挙動を消し去りつつ、より簡単にマシンを旋回できるようにした。シーズンを通しての開発競争は、長い時間をかけてオラクル・レッドブル・レーシングが強みにしてきた部分で、今シーズンも定期的にアップグレードが持ち込まれてきたが、イギリスGPでは特に大きな変更が加えられた。そして、リザルトからはその効果を確認できないかもしれないが(フェルスタッペンはイギリスGPとオーストリアGPで優勝を逃した)、RB18は徐々にフェルスタッペン好みの挙動をするようになっていき、フランスGP以降は圧倒的な強さを見せるようになり、タイトル獲得は時間の問題になった。アンストッパブルオーストリアGP以降、マックス・フェルスタッペンは5連勝を飾った。予選のペースは不安定であり続け、オーストリアGP以降、フェルスタッペンがポールを手にしたのはベルギーGPとオランダGPの2戦だけだったが、決勝のマックスはアンストッパブルだ。フランスGPではメルセデスのルイス・ハミルトンに10秒差をつけてフィニッシュし、ハンガリーGPではQ3での技術的トラブルによる10番グリッドスタートながらまたもハミルトンを上回って優勝した。ベルギーGPでもフェルスタッペンは圧倒的で14番グリッドから見事優勝を手にした。チャンピ...