2019-2010年FIA世界耐久選手権(WEC)の第2戦となる富士6時間レースが静岡県の富士スピードウェイで開幕し、初日となる10月4日(金)は2度の練習走行が行われた。TOYOTA GAZOO Racingの2台のTS050 HYBRIDはサクセス・ハンディキャップという新たに課された難題に挑みながら、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーのTS050 HYBRID 8号車が、この日最速となるタイムをマーク。レベリオンの1号車が2番手。
先月シリーズ開幕戦として行われた前戦シルバーストンで勝利を挙げたマイク・コンウェイと小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの7号車は、この日は主にレースセッティングに専念し、公式練習2回目は5番手に終わった。チームにとっての母国レースである富士6時間において、TS050 HYBRIDは今季初めて、サクセス・ハンディキャップを課されて臨むこととなった。これは、ハイブリッド・ブースト、1周あたりの燃料使用量、そして1スティントあたりの燃料量について、下位車両とのポイント差に基づいてハンディが課されるというもの。ランキング首位につけるTS050 HYBRID 7号車は1周あたり1.4秒相当、同2番手の8号車は1秒相当のハンディキャップを課される。このような仕様変更はこれまでに未経験であり、チームはハンディキャップを負った状況での2台の分析及び最適セットアップを見出すのに忙しい一日を過ごすとなった。サクセス・ハンディキャップの影響はすぐに現れた。この日の8号車のベストタイムは、昨年の同条件下時と比較して1秒650遅く、富士スピードウェイでのLMP1カーによるコースレコードとは約3秒もの大きな差となる。この日は未明に大雨が降ったが、明るくなるとともに雨は止み、午前11時からの公式練習1回目開始時にはスリックタイヤで走れるまでに路面状況が回復した。この好コンディションは夕方の公式練習2回目でも続き、2台のTS050 HYBRIDは1周4.563kmの富士スピードウェイで合計156周を走破し、様々なデータを収集した。富士スピードウェイでのセットアップは、相反するキャラクターを持つコースレイアウトへの挑戦となる。1.5kmの長いストレートからのコース前半は高速なセクションだが、逆にコーナー後半は非常にタイトなコーナーが続く。この両方にあわせるべく、多様な空力セッティングを試すとともに、ハイブリッドシステムやメカニカルなセットアップにおいても、最適条件を見出さなくてはならない。この日2台のTS050 HYBRIDはタイヤ性能の評価や摩耗に関するデータも収集し、有意義な2度の公式練習をこなした。TS050 HYBRID 7号車(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)公式練習1回目 : 3番手 (1分27秒790), 24周公式練習2回目 : 5番手 (1分28秒171), 34周小林可夢偉(7号車):今日は全力走行ではありませんでした。一方で、サクセス・ハンディキャップがとても厳しい条件だと分かりました。8号車に対抗するのは難しく、辛いレースになるかもしれません。明らかにサクセス・ハンディキャップによるパワー低下によるもので、大きな差がついています。この状況を何とか乗り切って、最大の成果を上げたいと考えています。マイク・コンウェイ(7号車):思ったようには走れなかった一日でした。車両のバランスは悪くありませんでしたが、サクセス・ハンディキャップの影響で8号車には差をつけられていますし、ライバルのレベリオンやジネッタに対しても厳しい状況です。決勝は僅差のレースになることと思います。ミスなくしっかりと戦う必要があります。ホセ・マリア・ロペス(7号車):7号車にとっては辛い一日になってしまい、レースセッティングに集中しました。厳しい母国レースになることが予想されます。それでも、日本でレースが出来るのはとても素晴らしいことですし、日本のファンの皆様のためにも最良の結果を挙げてご声援に報いたいと決意しています。TS050 HYBRID 8号車(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー)公式練習1回目 : 1番手 (1分27秒373), 49周公式練習2回目 : 1番手 (1分25秒623), 49周中嶋一貴(8号車):チームは、車両のセットアップとシステム調整に一生懸命取り組みました。サクセス・ハンディキャップにより2台の車両の使用可能なエネルギー量が異なるため、注意が必要です。シルバーストンに比べて燃料使用量とハイブリッド・ブーストが少ないため、車両バランスが大幅に変わっています。エネルギー配分に合わせた新しい車両のセットアップを考える必要があり、とても複雑でしたが、ただ今日は良いスタートが切れたと思います。セバスチャン・ブエミ(8号車):今日は練習走行をとても上手く進められた一日になりました。初めてサクセス・ハンディキャップを経験し、最適な車両に仕上げようと試みました。昨年のレースの全ての走行データが使用できないため、対応することが多かったですが、雨が止んだことで上手く練習走行を進めることができました。明日の予選、また明後日の決勝に向け、必要な多くのデータを取得できたと思います。ブレンドン・ハートレー(8号車):良い練習走行ができた一日となり、走行メニューも効率的に進めることができました。特に初めてトヨタのドライバーとしてトヨタの母国の富士に戻って来ることができ、うれしく思います。今日は、TOYOTA GAZOO Racingファンの皆様が多く来場されており、ファンの皆様のサポートを身近に感じました。練習走行1回目と2回目共に最速タイムで終えましたが、サクセス・ハンディキャップによりライバル車と非常に僅差な内容だったと思います。WEC 第2戦 富士6時間レース 公式練習1回目結果(LMP1クラス)順位No.ドライバー名チーム/車種周回ベストタイム18セバスチャン・ブエミ中嶋一貴ブレンドン・ハートレーTOYOTA GAZOO Racing/トヨタ TS050 HYBRID491:27.37321ブルーノ・セナグスタボ・メネゼスノルマン・ナトレベリオン・レーシング/レベリオンR13・ギブソン411:27.65937マイク・コンウェイ小林可夢偉ホセ・マリア・ロペスTOYOTA GAZOO Racing/トヨタ TS050 HYBRID241:27.79045ルカ・ギオットベン・ハンリーイゴール・オルトツェフチームLNT/ジネッタG60-LT-P1・AER71:28.44956チャーリー・ロバートソンマイク・シンプソンガイ・スミスチームLNT/ジネッタG60-LT-P1・AER81:28.712WEC 第2戦 富士6時間レース 公式練習2回目結果(LMP1クラス)順位No.ドライバー名チーム/車種周回ベストタイム18セバスチャン・ブエミ中嶋一貴ブレンドン・ハートレーTOYOTA GAZOO Racing/トヨタ TS050 HYBRID491:25.62321ブルー...